Research Abstract |
CO2/O2吹き石炭ガス化炉内で生じる移動現象を解明し,操作条件を最適化するため,ガス化炉内の熱流体解析を行った.その際,ガス化炉内で生じる石炭揮発分の反応について,事前に行った詳細反応解析との比較により代表的な反応を絞り込み,これを熱流体解析に組み込んだ.また,石炭揮発分の反応の進行により生成する多環芳香族炭化水素をすすと仮定し,すすの生成予測を行った.解析結果は,既往の実験結果と比較し,解析の妥当性を確認した,解析モデルを用いて,炉内のすす生成の予測,および,操作条件がガス化に及ぼす影響を検討した.代表的な結果は以下のとおりである. 1 すす生成の予測 ガス化炉内のすす濃度分布を求めたところ,酸素濃度の高い燃焼室内では,すすはほとんど存在せず,酸素濃度の低下に伴いすす濃度は増加し,燃焼室出口付近から還元室石炭投入口付近で最大となることがわかった. 2 CO2濃度の影響 酸素比0.5における導入ガスのCO2濃度が石炭ガス化に及ぼす影響を検討した結果,CO2濃度の上昇により出口合成ガス発熱量は増加し,その一方で,ガス温度は低下した.CO2濃度が50wt%と高濃度の場合,吸熱反応であるチャーのCO2ガス化反応および逆シフト反応が顕著となるため温度低下し,炭素転換率が低下した. 3 O2濃度の影響 酸素比がガス化に及ぼす影響を検討したところ,酸素比の増加により炉内温度は上昇する一方で,酸素比0.7でガス発熱量が最大となることがわかった.これは,酸素比0.7以上では,COの酸化反応が進行し,CO濃度が低下することに起因する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,1)熱流体モデルの作成および妥当性の確認,2)解析モデルによる生成ガス組成に及ぼす操作条件の影響の検討を目的とした.その結果,1)については,CO2/O2雰囲気における石炭揮発分の反応挙動を予測するため,熱流体解析モデルにいくつかの代表的な反応を考慮し,詳細反応機構による解析と同等な解析結果が得られることを確認した.また,熱流体解析モデルの結果は,文献で報告されている実験結果と妥当に一致した.2)については,1)で作成した解析モデルを用い,検討する操作条件として入口ガスCO2,O2濃度を変化させた.以上のように,おおむね計画どおりに研究を遂行できた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,CO2/O2雰囲気における石炭ガス化の操作条件が生成ガスに及ぼす影響を引き続き検討する.検討事項としては導入ガスの流量,導入角度,用いる石炭の性状等である.また,モデルで用いるパラメーターが解析結果に及ぼす影響についても同時に検討する.以上の結果をもとに,石炭ガス化による合成ガス製造の高効率化および安全運転の指針を示す.
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