2013 Fiscal Year Annual Research Report
加速器実験を用いた素粒子理論モデルの選別及びパラメータ測定可能性の理論的研究
Project/Area Number |
12J06240
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張ヶ谷 圭介 東京大学, カプリ数物連携宇宙研究機構, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 超対称性理論 / 暗黒物質 |
Research Abstract |
電弱対称性の破れの大きさを説明する模型の一つに、超対称性模型がある。その模型では、超対称性の破れがヒッグス場に伝わることでヒッグス場が負の質量を獲得し、電弱対称性が破れる。超対称性の破れの伝え方によって超対称性粒子の重さが決まるので、何らかの伝え方のモデルを仮定してそれを実験的にどう確かめるかを考察することは重要である。 私が最も注目している伝え方は、「最小超重力誘導型模型」("Pure gravity mediation")と呼ばれる、超対称性の破れを単に重力相互作用で伝える、というシンプルな模型である。この模型はポロニー問題やグラヴィティーノ問題が無いという点で初期宇宙論と相性が良い。最小超重力誘導型模型は、ゲージーノ(ゲージ粒子の超対称性パートナー)がスカラー粒子に比べて2桁ほど軽い、ということを予言し、かつ中性のゲージーノは暗黒物質の良い候補である。そのため、ゲージーノが実験的に調べるべき最初の対象となる。そこで私は、ゲージーノ質量に対する予言を詳細に調べ、どのように実験的にゲージーノの存在を検証するかを研究した。 ゲージーノ質量に対する予言は、Peccei-Quinn機構が存在すると一般に影響を受けることが知られている。暗黒物質の量はゲージーノ質量に強く依存しているので、暗黒物質の残存量が実験値と合うということから、モデルのパラメータのどの領域が好まれるかを明らかにした。また、その領域が加速器実験や宇宙線観測でどのように探索できるかを議論した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した内容を遂行し、かっ宇宙線観測による模型の検証可能性についても調べられたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
BICEP2実験によりインフレーション中のエネルギースケールが決まった。このスケールを基に、どのような素粒子理論模型が好まれるかについて考察し、LHC実験等でその模型をどのように検証すべきかを議論する必要がある。
|
Research Products
(11 results)