2013 Fiscal Year Annual Research Report
ラットDRGにおけるAVPを介したニューロン-グリア細胞間の相互作用の解明
Project/Area Number |
12J06480
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
守屋 大樹 山口大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | AVP / DRG / 浸透圧感知 / TRPV1 / ELISA / RT-PCR / SON / 細胞内カルシウム濃度 |
Research Abstract |
2年目にはDRGグリア細胞に作用しうるAVPの供給源の検索を行った。DRGニューロンの細胞体にAVPの免疫原性があることが報告されている(Kai-Kai et al. Neuroscience. 1986)ため、DRGニューロンがAVPの供給源となるかについて検討した。抗AVP抗体を用いてELISAプレートを作成したところ2pgまでのAVPを検出することが出来た。しかし、このプレートを用いてDRG抽出サンプルからAVPの検出を試みたが、検出出来なかったためDRGニューロンはDRGグリア細胞へのAVPの供給源となる可能性は低いと結論づけた。 そこで研究の方針を変更し、別のAVPの供給源の候補である視索上核(SON)ニューロンに注目し、体液浸透圧の上昇によるAVP分泌機構の解明に焦点を当てた。 マウスSONニューロンの浸透圧感知にTRPV1のN末端欠損分子が関わっていることが明らかとなっている(Sharif Naeini R et al. Nat Neurosci. 2006)が浸透圧受容体の本体は同定されていない。我々はTRPV1のN末端欠損分子が複数報告されているラットを用いて浸透圧受容体の同定を試みた。RT-PCRおよび免疫染色によりラットSONには全長領域を有するTRPV1分子が発現していることが明らかとなった。また[Ca^<2+>]_i測定法および電気生理学的手法によりラットSONニューロンに発現するTRPV1分子は24℃では作動薬であるcapsaicinに応答しないが36℃にすることでcapsaicinに応答するようになること、SONニューロンの高浸透圧刺激に対する応答はTRPV1の選択的阻害薬であるcapsazepineによって可逆的に阻害されることが明らかとなった。以上の結果からラットSONに全長領域を有するTRPV1分子が機能的に発現しており、浸透圧感知に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DRGニューロンの細胞体をDRGグリア細胞に作用するAVPの供給源の第一候補として考えていたがDRGに含まれるAVPを検出することが出来なかった。このため方針を変更し、別のAVPの供給源の候補であるSONニューロンに着目し、体液浸透圧によるAVPの分泌機構に焦点を当てて研究に取り組んだ。その結果、ラットSONニューロンには全長領域を有するTRPV1分子が機能的に発現しており、体液浸透圧の変化の感知に重要であることを示唆する結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
全長領域を有するTRPV1がラットSONニューロンの浸透圧感知に重要な役割をもっことを示唆する結果が得られているが、ラットSONニューロンに発現するTRPV1は室温では作動薬であるcapsaicinに応答しないことや、高浸透圧刺激への応答に関与することなどDRGに発現するTRPV1とは異なる性質を有している。この違いの原因としてラットSONでは全長領域を有するTRPV1がTRPV1のスプライスバリアントや別のTRPV分子とのヘテロ結合体を形成している可能性やアダプタータンパクによる抑制がかかっている可能性が考えられる。SONに発現するその他のTRPV関連分子とTRPV1を強制発現し、それぞれの細胞のcapsaicin応答性や高浸透圧刺激応答性を比較することでラットSONニューロンに発現する浸透圧受容器の再構築を試みる。
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Research Products
(2 results)