2012 Fiscal Year Annual Research Report
規則メソ細孔体および複合高分子膜を駆使した、プロトン・電子共伝導性燃料電池の創製
Project/Area Number |
12J06495
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡 和輝 千葉大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / プロトン・電子共伝導体 / 触媒層設計 / 白金/炭素 / 二酸化炭素還元 / 酸化セリウム / 炭酸ジメチル合成 / 触媒表面設計 |
Research Abstract |
【燃料電池カソード用プロトン・電子共伝導体触媒の開発】炭素粉末を発煙硫酸中にて加熱することで硫酸基を導入した。その結果、353Kでの硫酸基導入量は炭素粉末の比表面積に比例した。また、活性炭Norit SXIIにおいて硫酸基導入温度を313-363Kで行うと、硫酸基導入量は0.33-0.49mmol g^<-1>の範囲で変化し、硫酸基導入量をコントロールできることがわかった。 市販Pt/C触媒に硫酸基を導入した炭素(HSO3-Norit SXII)を混合したものをカソードに配置し、発電試験(I-V曲線)を行った。Pt/Cのみと比べ、Pt/CにHSO_3-Norit SXIIを混合したカソードでは発電量がすべて向上した。電流量が15-60mA cm^<-2>で近似直線を描き、その傾きと切片の値に注目した。プロトン電導度と電子電導度に支配される近似直線の傾きはNafion混合時の同等以上の値を達成した。それに対し、活性化過電圧等に支配される近似直線の切片はNafion混合時の値の82-86%であった。プロトン伝導体膜から硫酸基を導入した炭素へのプロトン伝達等にエネルギーロスがあると考えられる。 【酸化セリウム触媒によるCO_2還元】CO_2とメタノールからの炭酸ジメチル(DMC)合成反応で、触媒のCeO_2に水素還元処理を施すことでDMC合成反応速度が1.2-1.6倍に向上すること、DMC合成速度がCO_2圧力に一次に比例することが判明していた。触媒の電子状態を追跡することで、水素還元によりCeO_2表面の酸素欠陥が生じ、そこにCO_2が化学吸着しやすいため、DMC合成速度の向上が起こったと判明した。CeO_2表面の酸素欠陥を効率的に導入する触媒設計を行うことで更なる触媒活性の向上が見込まれる。なお、この成果は論文にまとめFrontiers in Green and Environmental Chemistryに投稿済みである。"Catalytic conversion of carbon dioxide into dimethyl carbonate using reduced copper-cerium oxide catalysts as low as 353K and 1.3 MPa and the reaction mechanism" Seiki Wada, Kazuki Oka, Yasuo Izumi, submitted on March 15 2013.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、ゼオライトに硫酸基を導入し、その内側に炭素合成を予定していた。しかし、ゼオライトによる酸素拡散の阻害等様々な問題が生じ、うまくいかなかった。その後、代替法として炭素表面に硫酸基の導入という手法をとったため、その分計画からやや遅れを生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、I-V曲線の近似直線の切片から見られたエネルギーロスを低減し、Nafion混合Pt/Cと同等以上の発電量を目指す。具体的にはPt/C,HSO3-Norit SXIIを混合,Teflonを混合した触媒層で発電試験を行った結果と比較し、エネルギーロスの原因と対応策を模索する。 また、当初の予定通りにプロトン・電子共伝導体膜の開発を実行する。
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