2013 Fiscal Year Annual Research Report
幼若ホルモン生合成を制御する新規遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
12J06522
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田口 周作 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 幼若ホルモン / エクダイソン / 飢餓 / アラタ体 / 側心体 / カイコガ / 遺伝子組み換え |
Research Abstract |
幼若ホルモン生合成制御の分子メカニズムの解明とその体内濃度変化に伴う発生タイミングの決定機構の解明を目的として、以下の実験を行った。 本研究より同定した幼若ホルモン合成期にアラタ体、側心体で強く発現する7遺伝子(D1~D7)が発生と共にその発現量を大きく変動させることから、その原因と考えられる幼若ホルモン、エクダイソン、飢餓が遺伝子発現に与える影響を定量的RT-PCRで検証した。カイコガに対して幼若ホルモン類似物であるフェノキシカルブを塗布したところ、7遺伝子のいずれも発現量に変化は見られなかった。この結果は、7遺伝子が幼若ホルモンの下流遺伝子ではないことを示しており、また、体内幼若ホルモン濃度と相関した遺伝子発現パターンを示すD2、D3、D4が幼若ホルモンの上流遺伝子である可能性を示唆している。一方で、カイコガに対してエクダイソンを注入すると、D1とD6の発現量がそれぞれおよそ17倍、4倍に増加した。また、カイコガを48時間絶食させて飢餓状態にすると、D3とD4の発現量がそれぞれおよそ2倍、8倍に増加した。これらの結果から、幼若ホルモン生合成の制御因子であるエクダイソンと飢餓がD1、D3、D4、D6の遺伝子発現を介して幼若ホルモン生合成を制御している可能性が考えられ、その機能解析には幼若ホルモン生合成の分子メカニズムの一端を明らかにすることを期待できる。 遺伝子の機能解析として、Gal4/UASシステムによりD3、D4を過剰発現、ノックダウンさせる為、UASの下流にD3、D4を配置した遺伝子組み換えカイコガ(UAS系統)を昨年度に続き作出した。このUAS系統を、アラタ体でGal4を発現させるET14と掛け合わせ、D3、D4の過剰発現、ノックダウンを引き起こす系統の作出を試みた。しかし、いずれの系統においてもアラタ体でのD3、D4の遺伝子発現量に有意な変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
アラタ体特異的なGal4系統として、既にいくつかの研究で使用されているET14を用いて実験を行ったが、アラタ体でのGal4の発現が非常に少なかった。このことがGal4/UASシステムが働かなかった原因と考えられる。 予定では完了済みであった過剰発現、ノックダウン個体の作出が上手くいかなかった為、進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
既存のGal4系統の発現が非常に弱く、現状ではその利用が困難であると判明したことから、アラタ体特異的な新規のGal4系統の確立及び、少ないGal4を補完する強力なUAS系統の確立が必要である。 新規系統の確立と平行して全身でGal4を発現させる系統を用いて遺伝子の機能解析を行って行く。機能解析には、発生時間の変化、体重変化などの発生異常の観察と体内幼若ホルモン量の変化、幼若ホルモン合成酵素の遺伝子発現量の変化を測定していく。
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Research Products
(1 results)