2014 Fiscal Year Annual Research Report
記憶機能低下に伴う脳波位相同期のメカニズム解明とアルツハイマー病早期発見への応用
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12J06625
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 雄太郎 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳波 / 脳波位相同期 / ワーキングメモリ / アルツハイマー病 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は脳波信号からアルツハイマー病患者に特異的な特徴を見出し,アルツハイマー病の早期診断指標を構築するために必要な生理学的知見を得ることにある.本研究では,脳波位相同期現象に着目し研究を進める計画を立てた.離れた脳部位で測定される脳波の位相が同期する現象を脳波位相同期現象と呼ぶ.この脳波位相同期現象は短期記憶能力の高いヒトほど強い同期が観測されることが知られている.また,疾患との関連では,アルツハイマー病患者において記憶機能の低下とともに脳波位相同期現象の低下が指摘されている.しかしながら、脳波位相同期現象の測定を用いた診断手法の確立に際しては,短期記憶に伴う神経の発火活動から脳波位相同期へいたるまでのメカニズムが不明である問題が挙げられる.そこで初年度にアルツハイマー病患者に特徴的な脳波の変化を再現する脳波発生数理モデルを構築した.さらに昨年度はパーティクルフィルタと呼ばれる手法を用いて脳波データから数理モデルの生理学的パラメータを推定する手法を構築し発表した.本年度は変分ベイズ法と呼ばれる手法を用いてこれまでのパーティクルフィルタを用いた手法よりもより高精度に脳波信号の背後にある数理モデルの生理学的パラメータを推定する手法を構築した.本年度はさらに,脳波位相同期現象のメカニズムを物理学的に探る手法を考案した.縮約と呼ばれる数理モデルの簡易化手法を用いて脳波発生数理モデルを変換し,さらに確率微分方程式を解くことにより脳波発生数理モデルから位相同期強度を数学的に導出する手法を考案した.この成果から短期記憶時のドパミンによるSN比向上が,短期記憶時に測定される脳波位相同期現象を再現するのに重要であることが示唆された.
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)