2013 Fiscal Year Annual Research Report
歯冠形態形成におけるHiPPO経路制御機構の解明とその応用
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12J06748
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
二木 正晴 東北大学, 大学院歯学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Hippo伝達経路 / 細胞増殖 / 細胞分化 / 神経栄養因子(NT4) / MST1/2過剰発現 / TrkB / アメロブラスチン(AMBN) / MSTリン酸化経路 |
Research Abstract |
本研究では、歯の発生過程におけるHippo伝達経路関連分子の発現とその機能的意義を明らかにし、歯の形態形成を規定する分子制御機構の解明を目的とする。 我々は昨年度、歯胚と歯原性上皮細胞株、歯原性間葉細胞株においてHippo伝達経路関連分子のmRNAの発現解析を行い、歯胚及び歯原性細胞株においてHippo伝達経路関連分子群の発現を明らかにした。また、胎生マウス歯胚の組織切片において歯の発生段階における特徴的な段階である蕾状期、帽状期、鐘状期の3つの段階について関連分子群の発現解析を行う為に免疫染色を行い、歯の発生過程における関連分子群の発現を明らかにしてきた。さらに、Hippo関連分子群のなかで伝達経路において中心的役割を担う分子であるMST1/2注目し、その機能解析を行う為に歯原性上皮株においてsiRNAにより内因性MSTを抑制し、内因性MST1/2抑制が細胞増殖・細胞分化に与える影響について解析を行った。その結果、内因性MST1/2抑制下では細胞増殖は亢進し、細胞分化は抑制されることが確認できた。 これらの解析に加え、本年度は歯原性上皮細胞株において発現ベクターによりMST1/2過剰発させ細胞増殖と細胞分化について与える影響について解析を行い、より詳細な機能解析を行った。その結果、MST1/2過剰発現させた歯原性上皮細胞株では細胞増殖は抑制され、細胞分化は促進されていることが確認された。これらの結果より、MST1/2は歯原性上皮細胞における細胞増殖と細胞分化に深く関係していることが示唆された。 これらに加え、昨年度行った神経栄養因子(NT4)刺激によりMST1/2がリン酸化される経路に関与している分子についてより詳細な解析を進めた。その結果、歯原性上皮細胞においてMEKinhibitorを処理することによってMST1/2リン酸化が阻害されることが確認できた。このことよりNT4刺激によりMST1/2のリン酸化はMEK1/2が深く関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯原性上皮細胞におけるMST1/2過剰発現系での細胞増殖実験・細胞分化実験を行うことで、より詳細なMST1/2の機能的役割について解析を行った。これらの結果、MST1/2過剰発現細胞株においては細胞増殖が抑制され、細胞分化が促進されることが確認された。MST1/2過剰発現系での細胞増殖・細胞分化についての解析結果は、siRNAによる内因性MST1/2抑制系における結果と反対の結果となり、これら解析により歯原性上皮細胞株におけるMST1/2の機能的役割についてより詳細な解析結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、歯原性上皮細胞株におけるNT4刺激によるシグナル解析に取り組む。昨年度の解析結果より我々は歯原性上皮細胞におけるNT4刺激によりMST1/2がリン酸化されることを確認している。NT4刺激はTrkB受容体から入力しRas, MEK, ERK12を介してシグナルが伝播することが知られているが、今後の課題として歯原性上皮細胞におけるNT4刺激がどのような経路でMST1/2リン酸化するのか、解析を進める必要がある。 これらの経路を明らかにするため、今後MST1/2を過剰発現させた歯原性上皮細胞株の免疫沈降を行い、候補と考えられるいくつかの抗体を用いてWesternblottingを行うことでMST1/2と結合する分子の解析を行う。また、MST1、MST2についてどの部位がリン酸化されるのか詳細に解析を進めていく。
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