2012 Fiscal Year Annual Research Report
複数の自律型海中ロボットの連携による海底広域探索手法の開発
Project/Area Number |
12J06829
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 匠未 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自律型海中ロボット / マルチロボット / パーティクルフィルタ / 自己位置推定 |
Research Abstract |
本研究では複数の自律型海中ロボット(AUV : Autonomous Underwater Vehicle)が連携して効率的に海底を観測する手法の開発を進めている.本手法では二台のAUV AとBを想定する場合,Aが海底に着底し,Bは着底したAを基準に自己位置を推定し,移動および海底の観測を行う.Bが一定範囲の観測を終了した後,今度はBが着底し,これまで着底していたAはBを基準に位置推定および観測を開始する.交互に着底して位置推定の基準となることで,広範囲の海底を高精度に観測することが可能になると考えている.本年度に開発した手法の概要を以下に示す. 1)位置推定情報のAUV間の共有手法: 位置推定は移動AUVによって行われる.移動AUVが一定の観測を終了後,着底して基準となる前に,位置推定情報を次に移動を開始するAUVに伝達する必要がある.水中では電波が使用できないため,情報通信は音響を用いる.音響は通信速度が電波に比べて極めて遅いため,大量の情報のやり取りが難しい.そのため移動AUVの推定情報を効率的に圧縮し,少ない情報量で次に移動を開始するAUVに伝達する手法を開発した.シミュレーションを通じて手法の検証を行い,実際に二台のAUVに本手法を実装した.実装の第一段階として一台は移動型のAUV("Tri-Dog 1")に,もう一台は着底型の擬似AUV("Seafloor Station")に実装し,実海域実験を実施し,本手法の有効性および性能評価を行った.今後は手法の改良および二台の移動型AUVによって広域観測の実証試験を進めていく. 2)着底装置の開発: 着底AUVは移動AUVの基準となるため,海底で潮流や外乱等に対して安定している必要がある.そのためAUVが海底付近で自律的に重量を調整するシステムの設計・開発を進めている.本装置を用いてAUVは着底の際には重量を増加させて動きにくい状態となり,移動の際には浮力を発生させ重量を軽くすることで動きやすい状態になる.本装置開発のため補助金を活用した.開発は現在も進行中で,来年度にわたって動作試験を進めていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二台の海中ロボットが海底で交互に基準となる際に,推定した位置情報を共有する手法の開発が完了し,実海域実験を通じて有効性を示すことができたためである.これにより二台のロボットがナビゲーションを行うための基礎手法の開発が終了したと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実際に二台の移動型のAUVを用いて交互に基準となることを繰り返し,広域にわたる海底を観測する実験を進める.実験結果を踏まえて手法の問題点を発見し,改良を行う.現在までに浮上している問題点は圧縮手法を用いても二台の間で推定情報を通信する際に時間がかかってしまう点である.この理由として音響の通信速度が遅いことに加え,周囲環境の雑音等の影響で通信が安定して成功しない点などが挙げられるが,対策として開発中の着底装置を用いて海底に着底することで安定した通信が確保できるものと考えている.また推定情報の圧縮方法を改良するといった対策も考えられる.
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