2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J06992
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
椿山 諒平 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 出芽酵母 / 寿命制御 / SAM |
Research Abstract |
寿命制御機構の全容解明を目指し、出芽酵母を用いて新規寿命制御因子の取得、解析を行った。特に本年度は、取得したssg変異株における以下の知見を得た。 1)ssg変異により経時的寿命が延長する 定常期における生存率を計測することにより、ssg変異株の経時的寿命を測定した。その結果、野生株よりも寿命が延長することが明らかとなった。また、寿命延長との密接な関係が報告されている各種環境ストレス耐性について調べたところ、ssg変異株は野生株と比べて酸化ストレス、熱ショックストレスに対して耐性を示すことが明らかとなった。これらの結果より、Ssg1が期待通り新規な寿命制御因子であることが示唆された。 2)ssg変異により細胞内AdoMetおよびAdoHcyが蓄積する 取得したssg変異株におけるAdoMetおよびAdoHcyの細胞内含量をキャピラリー電気泳動により計測した。その結果、両物質とも高蓄積していることが明らかとなり、Ssg1がこれらの物質の濃度調節に関与していることが示唆された。 3)Ssg1は液胞膜に安定して局在する Ssg1の機能を明らかにするためにN末にGFPタグを付加し、その細胞内局在を観察した。その結果、Ssg1は液胞膜に強く局在することが明らかとなった。一方、野生型のタンパク質(Erc1)ははっきりとした局在が観察できなかった。また、ウエスタン解析の結果より、Erc1と比較してSsg1は発現量が高く、Ssg1はより安定に液胞に局在できるタンパク質であることが示唆された。 4)既知の寿命制御経路との遺伝的関係を示す ssg1変異株における寿命延長のメカニズムを明らかにするために、既知の寿命制御経路との関係を調べた。その結果、Ssg1との関係性を示す興味深い知見が得られた。現在、その詳細な関係を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の解析より、ssg1変異と既知の寿命制御経路との関係性を見出すことができた。また、マイクロアレイ解析、メタボローム解析を行い、これらのアレイ解析からも大変興味深い知見を得ることに成功している。これらの結果より、ssg1変異、ならびにAdoMetの蓄積による寿命延長のメカニズム解明に大きく近づいたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ssg1変異による寿命延長のメカニズムについて解析を行う。具体的には、既知の寿命制御経路がどのように関与するのか調べ、AdoMetの添加によってその模倣が可能か検討する。また、前述のマイクロアレイ解析、メタボローム解析より、AdoMetがグルコース代謝に関与することが示唆された。そこで、まずssg1変異株において細胞内へのグルコースの取り込みに異常があるかどうか調べる。また、グルコーストランスポーターとの関係も調べる予定である。これらの解析により得られた知見をつなぎ、ssg1変異による寿命延長の理由を導きだしたい。
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Research Products
(8 results)