2013 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞機能に関わるATMおよびTERTの多能性獲得に果たす機能の解析
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12J07121
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木下 泰輔 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Telomerase / TERT / ATM / 多能性幹細胞 / 体細胞リプログラミング |
Research Abstract |
1. 研究の背景、研究目的 体細胞にいくつかの転写因子を導入することで多能性幹細胞が誘導されることが示されているが、そのメカニズムについては未だよくわかっていないところが多い。本研究では造血幹細胞で重要な働きを担いさらにそれぞれがDNA損傷応答とテロメア伸長に決定的な働きを持つ因子であるATMおよびTERTに着目し、多能性幹細胞の誘導および維持における両遺伝子の機能を解析することを目的とする。 2. TERTの多能性誘導に関わる機能とその酵素活性への依存性 TERTが体細胞リプログラミングの効率を上昇させる分子的メカニズムを明らかにするため、TERT欠損細胞にウイルスベクターで正常なTERTまたは酵素活性を欠失したTERTを導入した細胞を用いてマイクロアレイ解析を行った。これによりTERTの酵素活性に依らないターゲット遺伝子候補を抽出することができた。発現が低下する遺伝子の中にはEzh1やSuv39h2、HDAC9などのヘテロクロマチン維持に関係しているピストン調節因子が含まれ、クロマチン構造を変化させることでTERTがリプログラミングを促進している可能性が示唆された。リプログラミングファクターを導入した後の細胞においても同様に解析し、発現上昇する遺伝子の中にEsrrbやKlf17といったリプログラミングでの機能が既に報告されている遺伝子が含まれることを明らかにした。 3. TERT欠損iPS細胞の動態解析 TERT欠損iPS細胞で見られた一時的な増殖障害およびテラトーマ形成不全を詳細に調べるため、各継代数のWTならびにTERT欠損iPS細胞をマイクロアレイ解析にかけ遺伝子発現を比較した。クラスター解析からは792遺伝子の発現上昇と157遺伝子の発現低下が明らかとなり、GO解析からは「細胞接着」と「形態形成」に分類される群が継代数40のTERT欠損iPS細胞で発現低下していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に得られた結果を踏まえ、今年度はマイクロアレイ解析を行い、TERTの多能性誘導に関わる機能および多能性維持に及ぼす影響について詳細な解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ解析で得られた候補遺伝子について、そのリプログラミング過程におけるTERTとの関連性を検証する。TERT欠損細胞をリプログラミングする際に、ベクターで遺伝子導入を行って発現を増加させたり、sh RNAで発現量を減少させたりすることで、iPSs細胞の誘導効率が変化するかを調べる。 ATM欠損およびTERT欠損iPS細胞とWT iPS細胞を造血幹細胞へと分化誘導させ、その過程における異常の有無を明らかにする。
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Research Products
(1 results)