2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J07172
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安井 祐介 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジアリールプロリノール / 不斉アルドール反応 / ピルビルアルデヒド / 有機触媒 / 触媒的不斉反応 |
Research Abstract |
天然物や医薬品のなかには糖誘導体を主骨格として含むものがあり、これらを立体制御して合成する手法の開発は重要な課題である。ジアリールプロリノールを用いた不斉アルドール反応を利用すればこのような化合物が容易に合成できると考え、以下の研究を行った。1)ジアリールプロリノールを用いた不斉アルドール反応の適応範囲をさらに広げるために、ピルビルアルデヒドを用いた不斉アルドール反応の研究。2)不斉アルドール反応において、様々な立体の誘導体を合成するために新規触媒の開発。3)不斉アルドール反応を利用した、糖誘導体やポリオールなどの効率的な合成法の確立。 1)ピルビルアルデヒドは水溶液として市販されており、水中では水和体として存在する。また、α位にカルボニル基を有し、高い求電子性を示すアルデヒドであるが、一方でケトンのα位のプロトンの酸性度が高いために、容易にエノール化が進行し、求核剤としても働く可能性がある。検討の結果、ピルビルアルデヒドを求電子剤とする不斉アルドール反応がジアリールプロリノールを触媒とすることで高収率かつ高い立体選択性で進行することを見出した。 2)これまで報告例がほとんどない、有機触媒を用いたsyn選択的アルドール反応を進行させるために様々な新規触媒の合成を行った。syn選択的な反応を実現する遷移状態を変えるためには、触媒上の置換基の立体および電子性が鍵となる。様々な置換基を有する触媒を合成し、反応の解析を行ったが、高い立体選択性を示す有用な触媒の開発には至らなかった。 3)1)で得られた化合物を利用した、さらなる有用化合物への官能基変換を行った。ジアステレオ選択的な還元を行うことで、光学活性anti-およびsyn-1,2-ジオールをそれぞれ合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書には、3つの目的を掲げたが、そのうちの1つである不斉アルドール反応において、様々な立体の誘導体を合成するために新規触媒の開発は達成できなかったため、今後も研究を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
ジアリールプロリノールを用いた新規不斉アルドール反応の基質一般性の拡大および、様々な有用なキラルビルディングブロックの合成法の確立は順調に進行しているため、今後も研究を進めていく。新規触媒の開発については、今後も新しい触媒の設計、合成を行う予定である。反応の評価を行うことで、さらにデータを集め、高い立体選択性を示す触媒の開発を目指す。
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Research Products
(5 results)