2012 Fiscal Year Annual Research Report
三次元行動情報を用いた外洋性魚類の採餌生態に関する研究
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12J07184
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 乙水 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | マンボウ / サメ / 採餌生態 / 行動 / バイオロギング |
Research Abstract |
本研究は、高次捕食者であり生態系に大きな影響をもつと考えられる外洋性大型魚類について、これまで直接観察することの難しかった採餌行動を調べることを目的とした。三陸沿岸のマンボウ、ハワイ諸島のサメ類について動物搭載型の三次元行動記録計と視覚的記録装置を用いた行動調査を実施した。 1.マンボウ これまでの研究によって、海面を浮遊していると考えられていたマンボウが深度数百メートルまで潜ることがわかってきた。本年度は、マンボウが潜水中に何をしているかを明らかにするために、マンボウに三次元行動記録計と光源付きカメラを装着・放流した。結果、マンボウは海面滞在と潜水を繰り返し、潜水中深度100~200メートルにおいてカメラの画像にクダクラゲ類がしばしば観察された。その時の行動も併せてマンボウが潜水してクダクラゲ類を捕食しているという傍証を得ることができた。 2.サメ類 ハワイ諸島周辺海域には高次捕食者として複数種の大型サメ類が生息している。特に人間活動の活発な沿岸の浅海域において数の多いイタチザメ、ヤジブカ、ガラパゴスザメの採餌行動を調べるために、これらの3種のサメに行動記録計とビデオカメラを装着・放流した。結果、捕食とみられる行動を断定することは難しかったが、ヤジブカ、ガラパゴスザメから得られた動画には同種や他種のサメの他個体が確認され、直接観察することが難しい深度帯における個体間の相互作用を知るためのツールに成りうることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、マンボウの採餌行動を解明することができた他に、複数種のサメ類から行動データを取得することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験からマンボウが深く冷たい深度で採餌を行った後、しばらく温かい海面に滞在して体温を回復していると思われる行動的体温調節が示唆された。来年度は体温計も用いることで、確たる証拠を得ることを目標にしている。またサメ類の調査では、同じ海域において深い深度帯に生息するとされるカグラザメ、コギクザメのデータの取得を目指し、複数種のサメ類の鉛直的な住み分けについて調べたい。
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Research Products
(2 results)