2012 Fiscal Year Annual Research Report
2次元方向性フィルタバンクの実現と画像の変換符号化への応用
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12J07215
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 太一 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フィルタバンク / コサイン変調 / 方向性フィルタバンク / 画像処理 |
Research Abstract |
本年度は、研究実施計画に基づき、方向を考慮した周波数変換を実現する2次元方向性フィルタバンクの周波数変調構造を基にした設計法の一般化を確立した。 従来の設計法による2次元方向性フィルタバンクは、多様な周波数分割形状を実現しており良好な変換性能を達成しているが、構造上フィルタサイズを小さくできないために、変換の局所性が低く且つ変換に要する加算器や乗算器数が膨大であり非実用的である。 本研究は、低演算な方向性フィルタバンクを実現するために、周波数変調構造を基にした設計法を提案する。周波数変調構造は、1つのプロトタイプフィルタとそれを分割数分変調させる変調行列により構成され、変調行列の演算量は低く、フィルタサイズおよび変換に要する演算量はプロトタイプフィルタに依存し、構造的に低演算量を実現できる。 申請者はまず、方向を考慮するために2次元の両軸に対して斜め方向への変調方式を導入した。通常の周波数変調構造では、各変調フィルタの通過域の境界部分に不正な成分が発生するが、逆変換時に隣接するフィルタ同士により互いに打ち消しあい、欠損なく元の信号が復元される。これを、完全再構成と呼び、提案法の完全再構成を実現するため、変調行列に周波数位相特性にのみ影響を与える項を加え、位相変調により不正成分が互いに打ち消し合う一般化された条件を示し、一般化された周波数変調構造による2次元方向性フィルタバンクの設計法を確立した。 周波数変換の応用で良く用いられる分割数や方向数の設定において、本提案法により設計されたフィルタバンクは、ほぼ同等な周波数分割形状を有する従来の2次元方向性フィルタバンクと比較して、加算器および乗算器数が概算で約80パーセントの減少を示し、低演算な周波数変換を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、周波数変調構造を用いた2次元方向性フィルタバンクの一般化された設計法を確立し、高性能且つ低演算の方向を考慮した周波数変換手法を実現する事である。現在までに、当フィルタバンクの設計法を確立し一般化に成功しており、ほぼ同等の周波数分割形状を有する従来の設計手法と比較して演算量の削減を達成している。よって年次計画どおりの順調な進展をしていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は年次計画どおりの進展を達成しており、また設計法を2分割から多分割まで一般化しており、年次計画以上の進展を達成している。しかしながら、構造的レギュラリティなどの良好な周波数特性を保障する特性がなく、それらを付加する条件を提案し、また応用毎に有効な周波数分割形状および周波数特性を評価する指標を示す必要がある。よって次年度は、年次計画どおり応用毎の最適形状および特性を提案し、提案手法の高性能化を実現する。
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