2013 Fiscal Year Annual Research Report
微小電極アレイを用いた迷走神経刺激作用メカニズムの解明
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12J07412
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 塁 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ノルアドレナリン / 微笑電極アレイ / ネットワークバースト |
Research Abstract |
難治性てんかんの治療法である迷走神経刺激療法の作用メカニズムにおいて、ノルアドレナリンが主要な役割を担っていると考えられている。そこで、本年度はノルアドレナリンの神経回路に対する影響を評価し、また共培養系の確立のためノルアドレナリン作動性神経細胞から構成される青斑核を摘出し、それらの電気活動を計測した。 ノルアドレナリンの神経回路に対する影響を評価するため、細胞外電位を多点同時計測可能な微小電極アレイを用いて神経回路網を培養し、ノルアドレナリンを添加し、神経回路網のダイナミクスに与える変化をスパイク、電極におけるバースト(電極バースト)、ネットワークバーストに着目し、評価した。培養4週間目の神経回路に対して、ノルアドレナリンを添加すると、スパイク数の減少、電極バースト数、ネットワークバースト数が減少した。これらの結果より、ノルアドレナリンは神経回路における細胞レベル、ネットワークレベルの活動に対して抑制効果を保持していることが確認された。また、ネットワークバースト時間、ネットワークバースト内スパイク数、ネットワークバースト参加電極数も減少しており、ノルアドレナリンは、神経回路全体の同期活動であるネットワークバーストの数を抑制すると同時に、ネットワークバーストの性質に対しても効果があることが明らかになった。一方、培養2週間目、3週間目の培養神経回路網に対して、ノルアドレナリンを添加すると、ネットワークバースト数は減少するものの、ネットワークバースト時間、ネットワークバースト内スパイク数、ネットワークバースト参加電極数は変化せず、培養日数によってノルアドレナリンの効果が異なることが確認された。 ノルアドレナリン作動性神経細胞を豊富に含む青斑核を微小電極アレイ上に培養し、電気活動を多点同時計測可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
難治性てんかんの治療法である迷走神経刺激療法の作用メカニズムにおいて、主要な役割を担っていると考えられているノルアドレナリンの神経回路のダイナミクスに対する効果を微小電極アレイを用いて評価し、ネットワークレベルの活動抑制効果を明らかにした。また、青斑核の微小電極アレイ上での培養、電気計測に成功し、共培養系の基礎を構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ノルアドレナリンのネットワークレベルの活動抑制効果に寄与する受容体の特定、ダイナミクスへの影響を多角的に評価するため結合強度推定法を用いた新たな解析の追加を行うと同時に、青斑核と海馬の共培養系を確立し、ノルアドレナリン作動性神経細胞と海馬由来神経細胞の相互作用を評価することで、迷走神経刺激療法における作用メカニズムの解明の基礎を明らかにすることを予定している。
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Research Products
(6 results)