2012 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体PPARγの新機能に着目したリガンド創製研究
Project/Area Number |
12J07435
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大橋 雅生 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 核内受容体 / PPARγ / ゲノミック作用 / ノンゲノミック作用 / パーシャルアゴニスト / アンタゴニスト / TGF-β阻害 |
Research Abstract |
本年度は様々な固有活量(ゲノミック作用)を有するPPARγリガンドライブラリー(アゴニスト,パーシャルアゴニスト,アンタゴニスト)の充実を図ることを目的とし,主にパーシャルアゴニストやアンタゴニストの創製を行った.PPARγの活性化にはC末端のH12の適切な折りたたみが必須であり,その適切な折りたたみのためにはリガンドとH12周辺アミノ酸残基との水素結合形成が重要であることが知られている.従って,H12周辺アミノ酸残基との水素結合形成が少ないPPARγリガンドはH12を適切に折りたたむことができないためパーシャルアゴニストになり得ると考えられる.H12周辺アミノ酸残基との水素結合形成の減少を狙いアゴニスト構造のプロピオン酸部分を種々変換したところ,既存PPARγアゴニストであるピオグリタゾンの約30-40%の固有活量を有するベンズアニリド誘導体や,約50-60%の固有活量を有するN-ベンジルアミド誘導体を得ることができた.これら誘導体は他のPPARγアゴニストと共存させることでアンタゴニスト活性を示すことも確認した.その後,さらにPPARγアンタゴニストの創製研究に着手した.先述したとおりPPARγの活性化にはC末端のH12の適切な折りたたみが必須であるので,その折りたたみを完全に阻害できる化合物はアンタゴニストになると考えられる.そこで,ベンズアニリド骨格を有するパーシャルアゴニストをリード化合物とし,H12の折りたたみ阻害を狙いH12と相互作用していると推測される末端ベンゼン環をより嵩高く剛直な構造へと変換したところ,期待通りPPARγアンタゴニストを数化合物得ることができた.これらアンタゴニストも他のPPARγアゴニストと共存させることでアンタゴニスト活性を示すことを確認した. 現在はこれまでに構築したPPARγリガンドライブラリーのTGF-β阻害活性を指標としたノンゲノミック作用活性のスクリーニングを行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究目的である様々な固有活量(ゲノミック作用)を有するPPARγリガンドライブラリーの構築に成功しておりおおむね順調に進展していると考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度構築したPPARγリガンドライブラリーのTGF-β阻害活性を指標としたノンゲノミック作用活性のスクリーニングを行い,より詳細なゲノミック作用,ノンゲノミック作用の構造活性相関情報を得る. 得られたゲノミック及びノンゲノミック作用選択的リガンドについてPPAR,γLBDとの複合体X線結晶構造解析を外部機関との共同研究で実施し,構造面からノンゲノミック作用強度及び選択性の要因を解明する.新たに得られた構造情報を基に論理的に作用選択的PPARγリガンドをデザイン,合成し高作用選択的PPARγリガンドを創製する.
|
Research Products
(4 results)