2012 Fiscal Year Annual Research Report
ハロゲンラジカルを利用した炭素-炭素結合形成反応の開発と多成分連結反応への展開
Project/Area Number |
12J07483
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
吉方 孝至 大阪府立大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 臭素ラジカル / ジエン / 多成分連結反応 |
Research Abstract |
本研究では、古くからよく知られている臭素ラジカルの反応特性を活用し、重要な生物活性物質や機能性物質の合成に資する力量ある新たな有機合成反応系を設計することを目的としている。本年度では、これまでの知見を基盤とし、引き続き、位置選択的アリル化反応の開発に取り組んだ。さらには反応集積化を目指して多成分連結型ラジカル反応の開発にも取り組んだ。 まず、低温でもラジカルが容易に発生するV-70を開始剤とし、リン酸ナトリウム存在下、アルキリデンシクロプロパンと臭化アリルとをベンゼン中、40℃で加熱撹拌を行ったところ、シクロプロパン環の開環を伴った連鎖型炭素-炭素結合形成反応が生起し、6-プロモ-1,6-ジエンが良好な収率で得られることを見出した。また、得られた生成物を種々のクロスカップリング反応と組み合わせることで集積型ジエン合成法の開発を達成した。 つづいて、一酸化炭素をC1合成素子として用い、一酸化炭素加圧下でアルキリデンシクロプロパンと臭化アリルとのラジカル反応を検討したところ、一酸化炭素がカルボニル基として取り込まれた三成分連結型のラジカル反応が進行することを見出した。 また、電子不足オレフィンをC2合成素子として用いた三成分連結型ラジカル反応の検討も行った。すなはち、アレン、電子不足オレフィン、臭化アリルとのラジカル反応を検討したところ、この反応においては用いた三炭素成分が結合した生成物が良好に得られることを見出した。 以上、本年度では、臭素ラジカルの特性を活用した各種ジエン合成法の開発を達成した。本ラジカル反応系は特殊な試薬を用いる必要がなく、生成物中に反応性の高い臭素一炭素結合を容易に導入することができ、合成化学的に大きな意義があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究目的である臭素ラジカルを利用した炭素・炭素結合形成反応の開発は、当初の研究計画以上の成果を達成することができている。また、一酸化炭素や電子不足オレフィンを用いた多成分連結反応への展開も順調に達成できている。さらには、臭化アリルの代わりに臭化ビニルを用いた連鎖型のラジカル反応の開発も達成しており、今後も引き続き検討を行なっていきたい
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で臭化アリルが非常に優れたラジカルメディエーター及びアクセプターとして機能することを明らかにした。今後は、臭化アリルだけでなく、その他の臭素化物を用いた検討を積極的に行う。すでに予備的検討により臭化ビニルが有望であることを突き止めており、さらに研究の完成度を向上させていきたい。
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Research Products
(6 results)