2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J07523
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横崎 統三 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超対称性 / 電弱対称性の破れ / ヒッグス場 / 暗黒物質 |
Research Abstract |
私は、前年度から引き続き、破れた超対称性を持つ模型の構築、および検証を行った。私は、超対称性の破れのスケールが低い模型を中心に研究している。それは、低いスケールの超対称性が「電弱対称性の破れの起源の問題」という重要な問題を解決する可能性があるからである。 電弱対称性の破れ(EWSB)のスケールは、ヒッグス場の真空期待値によって与えられる。ヒッグス場のゆらぎに相当するヒッグス粒子はLarge Hadron Collider (LHC)実験で発見され、その質量は125GeV程度であることが確認された。実験でわかっているEWSBのスケール、すなわちヒッグス場の真空期待値はおよそ100GeV程度である。現在もっとも信頼されている理論である「標準模型」にはヒッグス場のポテンシャルにおいて重大な問題があり、EWSBのスケールを説明することができない。 私は、EWSBのスケールを破れた超対称性の理論において自然に説明するため、"Focus Point Gaugino Mediation"(FPGM)という、メカニズムを提案した。FPGMでは、ゲージーノからの量子効果でEWSBのスケールが説明される。より具体的にはゲージーノの質量スケールからEWSBのスケールが説明されるのである。私は、グルーオンとウィークボソンの超対称パートナー粒子である、グルイーノとウィーノの質量比がある3:8であるときに、EWSBのスケールが自然に説明されることを示した。また、ヒッグスボソンと光子の超対称パートナー粒子(フォティーノ)が混ざり、暗黒物質となることを示した。この成果は、Physics LeUers B (Phys. Lett. B)とJournal of High Energy Physics (JHEP)に掲載された。また、私はこの成果をもとに、3つの国際会議および、ひとつの国内会議で招待講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
私は、平成25年度、破れた超対称性に基いて"Focsu Point Gaugino Mediation"という新しいメカニズムを発見することができた。このメカニズムは、電弱対称性の破れと超対称性の破れを関係付けるものである。このメカニズムが正しければ、電弱対称性の破れを超対称性の破れから理解することができる。この結果は、広く評価され、国際会議で複数回の招待講演を行った。したがって、私の研究は当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は、破れた超対称性にもとづいて、電弱対称性の破れを超対称性の破れから説明する新しいメカニズムを見つけることができた。最終年度である今年は、この研究を発展させ、新しいメカニズムを実験的に検証する方法を追求していくつもりである。
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Research Products
(13 results)