2014 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動下における半乾燥地での生態系機能を考慮した持続的農業生産モデルの構築
Project/Area Number |
12J07604
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
柳川 亜季 東京工業大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 干ばつ / 脆弱性 |
Outline of Annual Research Achievements |
【概要】水循環モデルの基礎となる生態系地図を作成するため、生態系に大きな影響を及ぼす、生物の多様性(植物種数)、土壌の種類および長期的な土地利用履歴に着目し、極端現象(干ばつ)への脆弱性も考慮した生態系地図の作成を行っている。対象地が半乾燥地の天水農地と広大であるため、空間分散を考慮したベイズモデルによって、干ばつに対する脆弱性にもっとも影響をあたえる要素とその程度について検討した。その結果、植物種数が干ばつに対する脆弱性に最も影響を与えており、その次に土壌の種類の影響が大きいことが明らかとなった。本年度は評価の基礎となるデータベースおよび解析モデルの改良を行い、より信頼性の高い評価を行った。 【対象地およびデータ】1.乾燥地の抽出, 2.灌漑地の除去, 3.土地利用期間に分類, 4.土地利用期間の幅をもつ対象地を選定, 5.干ばつを抽出, 6.干ばつ指数を用いて、深刻な干ばつが5ヶ月以上続いた地域を上記の干ばつ地から抽出, 7.NDVIの最大値をつかって、ResistanceおよびResilienceを算出, 8.土壌分類に従って、対象地の土壌を分類, 9.対象地の種数を抽出 【評価方法および解析方法】評価(目的変数)には以下の3つの値を用いた。1.Resistance(抵抗力)= 干ばつ年の最大NDVI /干ばつ年の前年の最大NDVI, 2.Resilience (弾性)=干ばつ翌年の最大NDVI /干ばつ年の前年の最大NDVI, 3.干ばつ年のNDVIの最大値 解析では、種数,耕作利用期間,草地利用期間, 土壌について、変数選択の後、空間の分散を考慮したベイズモデルによって、変数の係数を得た。 【結果】 Resistanceでは、インド、スペインにおいて種数の影響が大きかった。Resilienceでは、東アフリカ以外で土壌の影響が大きかった。干ばつ年のNDVIについては、種数の影響が最も大きかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水循環モデルのベースとなる、生態系地図を作成するため、27年度はデータの解析に集中して取り組んでいた。生態系は長期的な土地利用履歴、土壌および生物の多様性に大きく影響を受けることを利用し、それらの違いが、干ばつ年およびその前後の(植生指数)NDVIにどのような影響を与えるのかについて、対象地における空間分散を考慮したベイズモデルで解析を行った。その結果、干ばつ年のNDVIには植物種の種数が最も影響を与えることがわかり、干ばつと種の多様性の重要性について広域を対象に世界で初めて明示した。この成果については、生態学会で発表し、反響を得た。 現在、この結果を最終的にまとめ、投稿に向けて準備中であり、その研究成果が期待されるところである。以上より、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
極端現象(干ばつ)への脆弱性を考慮した最大作物生産量を推定するため、既存の作物生産モデルに、脆弱性を考慮した関数を入れ、その推定を行う。これまでの研究成果をまとめる。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Illustrating a New Global-scale Approach to Estimating Potential Reduction in Fish Species Richness due to Flow Alteration2014
Author(s)
Sayaka Yoshikawa, Aki Yanagawa, Yuichi Iwasaki, Pengzhe Sui, Sujan Koirala, Anupam Khajuria, Kazunari Hirano, Roobavannan Mahendran, Yukiko Hirabayashi, Chihiro Yoshimura, and Shinjiro Kanae
Organizer
11th annual Meeting Asia Oceania Geoscience Society
Place of Presentation
北海道札幌市 北海道大学
Year and Date
2014-07-28 – 2014-08-01
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[Presentation] Illustrating a New Global-scale Approach to Estimating Potential Reduction in Fish Species Richness due to Flow Alteration2014
Author(s)
Sayaka Yoshikawa, Aki Yanagawa, Yuichi Iwasaki, Pengzhe Sui, Sujan Koirala, Anupam Khajuria, Kazunari Hirano, Roobavannan Mahendran, Yukiko Hirabayashi, Chihiro Yoshimura, and Shinjiro Kanae
Organizer
European Geosciences Union General Assembly
Place of Presentation
オーストリア ウィーン Austria Center Vienna
Year and Date
2014-04-27 – 2014-05-02