2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞を用いた肥大型心筋症の疾患モデリングと新規発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
12J07629
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 敦史 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | iPS細胞 / 肥大型心筋症 / 疾患モデリング / エンドセリン-1 |
Research Abstract |
本研究は、肥大型心筋症(HCM)患者からinduced pluripotent stem (iPS)細胞技術を作成し、ヒト疾患モデル作成を目的とした。HCMの原因として、心筋収縮蛋白などに様々な遺伝子変異が報告されているが、原因遺伝子の同定は約半数例であり、また発症時期が一般に壮年~老年期に多く、病態発現にも種々の多様性がみられることから、遺伝的要素に加えて後天的な修飾因子の存在も考慮されてきた。しかし、HCMに特徴的とされる細胞レベルでの表現型の発現に至るメカニズムは不明な部分が多いのが現状であった。そこで、本研究では3人の非血縁HCM患者と、比較対症の3人の健常人よりiPS細胞を樹立し、樹立したiPS細胞からそれぞれの患者特異的心筋細胞へ分化誘導し、HCMに特徴的な病理学的所見である心筋細胞の肥大、錯綜配列の有無を免疫染色や電子顕微鏡を用いて解析した。その結果、通常の培養条件下においてHCM患者iPS細胞由来の心筋細胞は健常人由来と比較し、それらの表現型の発現が有意に高い結果であった。次に、その表現型を促進する因子として複数のTrophic factorsを用いて誘導心筋細胞を刺激した結果、Endothelin-1 (ET-1)により、HCM患者iPS細胞由来心筋細胞において、病的表現型が有意に誘導されることが判明した。さらに、ET-1の濃度依存的に病態発現の促進効果がみられ、ET-A型受容体阻害剤により病態発現を抑制できることが判明した。以上の形態学的解析の結果を基に、高速カメラを用いた拍動様式の生理学的解析を行った結果、ET-1によりHCM患者iPS細胞由来の心筋細胞により拍動の均一性が失われることが判明した。この結果は、実臨床におけるHCMの心機能障害の基礎的な一因である可能性が示唆された。最後にHCMのトランスジェニックマウスより得られた心筋細胞を用いてET-1のPathologicalな影響についての解析を行い、iPS細胞由来心筋細胞で得られた前述の実験結果の検証に成功した。本研究結果はHCMの新たな治療戦略の応用へ向けた大きな基礎的役割を果たすことが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Endothelin-1 Induces Contraction Variability in Hypertrophic Cardiomyopathy-Induced Pluripotent Stem Cell-Derived Cardi omyocytes2014
Author(s)
Atsushi Tanaka, Shinsuke Yuasa, Giulia Mearini, Toru Egashira, Tomohisa Seki, Masaki Kodaira, Dai Kusumoto, Yusuke Kuroda, Shinichiro Okata, Tomoyuki Suzuki, Takuro Arimura, Kensuke Kimura, Akinori Kimura, Tetsushi Furukawa, Lucie Carrier, Koichi Node, Keiichi Fukuda.
Organizer
American College of Cardiology. 14 and i2 Summit
Place of Presentation
ワシントンDC. (米国)
Year and Date
2014-03-30
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[Presentation] Endothelin-1 induces contraction variability in hypertrophic cardiomyopathy-iPS cell-derived cardiomyocytes2014
Author(s)
Atsushi Tanaka, Shinsuke Yuasa, Toru Egashira, Tomohisa Seki, Masaki Kodaira, Dai Kusumoto, Kojiro Yae, Yusuke Kuroda, Shinichiro Okata, Tomoyuki Suzuki, Takuro Arimura, Kensuke Kimura, Tetsushi FuruKawa, Akinori Kimura, Koichi Node, Keiichi Fukuda.
Organizer
第78回日本循環器学会総会
Place of Presentation
東京国際フォーラム(東京都)
Year and Date
2014-03-21
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