2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂中期の染色体整列におけるNDRキナーゼの機能
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12J07864
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 克宣 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | NDR1 / MST1 / Aurora B / 染色体整列 |
Research Abstract |
当研究室において、NDR1が哺乳類細胞の染色体整列に必須のキナーゼであることが明らかとされた。さらに、最近、上流キナーゼであるMSTIとともにNDR1がAurora Bの活性を抑制することで染色体整列に寄与する可能性が報告された。しかし、分裂期におけるNDR1によるAurora Bの活性抑制機構は不明である。本研究ではMST1、NDR1のAurora Bの活性抑制が染色体整列に果たす役割を細胞レベルで解明することを目的とし、本年度は以下の2点について研究を実施した。 1.Aurora B変異体(TA, TE)の作成とキナーゼ活性の測定 私はこれまでに、MSTキナーゼによってAurora Bの非触媒領域がリン酸化されることを見出した。MST1によるリン酸化がAurora Bのキナーゼ活性に対して与える影響を解析するため、in vitroキナーゼアッセイにより各種Aurora B変異体の活性を評価した。擬似リン酸化型Aurora B(TE)変異体は野生型Aurora Bと同程度の活性であったのに対し、非リン酸化型Aurora B(TA)変異体は高い活性を示し、Aurora BはMST1によるリン酸化によって活性を抑制されている可能性が示唆された。 2.Aurora BとNDR1の結合領域の同定 NDR1によるAurora B活性抑制の分子機構を解析するため、Aurora BのNDR1結合領域の同定を試みた。種々のAurora B欠失変異体を用いて、NDRIはAuroraBのC末端触媒領域に結合することを見出した。さらにNDR1欠失変異体とAurora Bとの結合を検討し、NDR1の触媒領域内のN末端側がAurora Bとの結合に必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MST1によるAuroraBのN末端非触媒領域のリン酸化がAuroraBのキナーゼ活性に対して与える影響を明らかにした。さらに、AuroraBとNDR1の結合領域を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
MST1によるAuroraBのリン酸化が染色体整列に対して与える影響を解析するために、非リン酸化型AuroraB(TA)変異体、擬似リン酸化型AuroraB(TE)変異体発現細胞における細胞分裂中期の染色体整列を観察する。また、NDR1欠失変異体を利用して、NDR1との結合がAuroraBのキナーゼ活性に対して与える影響を検討する。
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