2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂中期の染色体整列におけるNDRキナーゼの機能
Project/Area Number |
12J07864
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
髙橋 克宣 東北大学, 大学院生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | NDR1 / MST1 / Aurora B / 染色体整列 |
Research Abstract |
当研究室において、NDR1が哺乳類細胞の染色体整列に必須のキナーゼであることが明らかとされた。さらに、最近、上流キナーゼであるMST1とともにNDR1がAurora Bの活性を抑制することで染色体整列に寄与する可能性が報告された。しかし、分裂期におけるNDR1によるAurora Bの活性抑制機構は不明である。本研究ではMST1、NDR1のAurora Bの活性抑制が染色体整列に果たす役割を細胞レベルで解明することを目的とし、本年度はNDR1アナログ感受性変異体の作成について研究を実施した。 これまでに、siRNAによるNDR1の発現抑制が哺乳類細胞の染色体整列を阻害することを明らかとしてきた。しかし、siRNAによる発現抑制は目的遺伝子の機能阻害に長い時間を要するということから、NDR1が細胞分裂のどの時期に機能しているのかという詳細について解析することは困難であった。そこで、NDR1キナーゼ活性を時期特異的に阻害する目的で、1-NM-PP1感受性のNDR1アナログ感受性変異体を作成し、in vitroキナーゼアッセイによる1-NM-PP1の活性阻害効果を評価した。ATPアナログ低分子化合物である1-NM-PP1は野生型NDR1のキナーゼ活性に対して影響をもたらさないが、ATP結合部位の166番目のメチオニンを置換したNDR1 (Ml66A)変異体の活性を効果的に抑制することが確認された。次に私は細胞分裂に対するNDR1活性阻害の効果を検討するため、HeLa細胞を用いNDR1 (M166A)恒常発現細胞株を樹立した。現在は樹立したNDR1 (M166A)恒常発現細胞株を用いて、細胞分裂におけるNDR1の時期特異的な阻害効果を検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NDR1の時期特異的な活性阻害の方法を確立した。さらに、1-NM-PP1によるNDR1アナログ感受性変異体の特異的な阻害効果を確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
作成したNDR1アナログ感受性変異体恒常発現細胞株を用いて細胞分裂におけるNDR1の活性阻害の効果を解析していく。細胞分裂時のNDR1(M166A)変異体恒常発現細胞株に対する1-NM-PP1添加の効果を共焦点レーザー顕微鏡による経時観察により解析していく予定である。
|