2012 Fiscal Year Annual Research Report
表面・界面の化学現象と多孔体構造変化の連成現象のマルチスケールシミュレータの開発
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12J07877
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中尾 和英 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 特別研究員(DC1)
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Keywords | SOFC / 分子動力学 / シンタリング / マスターシンタリングカーブ / 反応性力場 |
Research Abstract |
本年度は、分子動力学計算を用いた不規則多孔構造のシンタリング特性解析手法の開発・改善及び、反応性力場ReaxFFのパラメータセット開発手法の開発を行った。固体酸化物形燃料電池(SOFC)の燃料極はニッケルを用いたサーメットの多孔体が主に使用されているが、SOFCの高い動作温度、電極内の雰囲気や使用される材料に影響されるニッケルのシンタリングによる性能低下が問題となっており、分子動力学法を用いた原子スケールでの多孔構造のシンタリング特性解析が重要となる。しかし、分子動力学計算による多孔構造のシンタリング特性手法は確率されていなかったため、マスターシンタリングカーブと組み合わせた解析手法の開発とその精度向上を行った。ニッケル及びイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の多孔構造モデルに対して開発した手法で解析を行ったところ、実験で報告されている活性化エネルギーととても近い値を得ることに成功した。これにより、多孔構造におけるシンタリング特性の解析やシンタリングメカニズムの特定が、分子動力学計算を用いて可能になると期待できる。また、雰囲気や材料の違いを考慮する際に、ニッケルとの化学結合の形成や電荷の変化などが生じる可能性があるが、このようなことは従来の古典分子動力学法では考慮できないため、反応性力場ReaxFFを用いる必要がある。しかし、ReaxFFはそのパラメータセットの効率的な開発法がまだないため、東京大学のグループとともにforce-matchingアルゴリズム及び遺伝的アルゴリズムを使用したパラメータフィッティングプログラムの開発を行った。これにより、より高効率なReaxFFパラメータセットの開発が可能となると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、反応性力場ReaxFFのパラメータセット開発をいくつかの系に対して完了する予定であったが、現在は遺伝的アルゴリズムを用いたパラメータフィッティングプログラムの動作確認や効果の検証を行っている段階であり、パラメータセットの開発を完了するまでには至らなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、分子動力学計算で得られたパラメータを用いてのMonte CarloシミュレーションやPhse-Fieldシミュレーションなどのメソスケールシミュレーションを実行する。特に不純物などの影響を考慮するために、不純物が存在する場合における表面エネルギーの定義を行う必要がある。
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Research Products
(6 results)