2012 Fiscal Year Annual Research Report
壁細胞特異的Notch3による虚血性血管新生メカニズムの解明
Project/Area Number |
12J07954
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 由美 山口大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Notch3 / 血管新生 / 血管性認知症 / CADASIL |
Research Abstract |
Notchは隣接細胞同士のシグナル伝達により分化、遊走、細胞死など幅広い細胞機能を制御する細胞膜受容体である。1-4のホモローグのうち、Notch3は血管壁細胞(平滑筋・ペリサイト)に特異的に発現しており、その遺伝子変異により全身性の血管障害を伴う脳小血管疾患(CADASIL)を発症することが知られている。近年、NOTCH3の欠損または変異により血管新生の障害が起きている可能性が示唆されている。そこで、本研究では壁細胞の機能と動態に着目して、Notch3が虚血および低酸素条件下での血管新生を制御する機序を解明することを目的とした。 H24年度は、計画を変更して京都大学iPS研究所・井上研究室にて3人のCADASIL患者から採取した繊維芽細胞からiPS細胞の樹立を行った。樹立したiPS細胞の核型に異常はなく、テラトーマの形成も確認された。以後、NOTCH3変異が確認されたCADASIL患者2名由来のiPS細胞4クローンと、Control iPS細胞各4クローンの血管内皮細胞と血管壁細胞への詳細な分化条件の検討を行った後、細胞のPhenotypeの評価に移った。これまでのところ、血管壁細胞の収縮能力と虚血応答性に有意差が認められており、さらに詳細な解析を行っている。 また、iPS細胞実験に加えてNOTCH3トランスジェニック(Tg)マウスの実験も並行して実施した。6ヵ月齢および9ヵ月齢の野生型、変異型(C455R)NOTCH3 Tgマウスを用いて下肢虚血モデルを作成し、血管新生能を経時的な血流測定により評価した。今後、採取した組織の染色・タンパク質定量などにより血管密度・血管新生関連タンパク質の変化を定量し、NOTCH3変異による血管新生への影響を検討していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画を変更し、H26年に予定していたiPs細胞樹立と機能評価を先に行った。4名のCADASIL患者からiPs細胞を樹立して内皮細胞と壁細胞へ分化し、それぞれのマーカー蛋白質の発現が確認された。現在、大まかな機能解析を行っているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
新たに国立循環器病研究センターでトランスジェニックマウスを交配しつつ、ips細胞の実験を継続して行う。ips細胞実験の比較対象群として、購入したヒト大動脈平滑筋初代培養細胞にsiRNAによるNOTCH3ノックダウンやNOTCH3遺伝子導入による過剰発現を行って、CADASILの病態発生機序の解明を図る。
|
Research Products
(1 results)