2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規な単一ニューロンの活動記録・染色法を用いた大脳基底核機能の解明
Project/Area Number |
12J08027
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 佳 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 電気穿孔法 / プラスミド / 蛍光タンパク質 / 単一神経細胞記録法 / 行動神経生理学 |
Research Abstract |
当該年度は交付申請書における予定の通り、特定の行動や抑制を行わせる課題(go-nogo課題)を用いてラットを訓練し、線条体から単一ニューロン活動を記録する予備実験を行った。その結果、行動の企図や発現、もしくは抑制にかかわると思われる神経活動が線条体の全域にわたり記録することができた。現在、これを詳細に検討するために、新たな訓練課題を動物に訓練しているところである。またそれに加え、大脳基底核と関連の深い前頭連合野が重要な役割を果たしている、「実行系機能」の一つであるワーキングメモリに関する実験も行った。そのために、ワーキングメモリを調べる際によく用いられる遅延反応課題を用いてラットを訓練し、多点電極による多細胞活動同時記録を行っているところである。 上記の実験と並行して、電気穿孔法を用いてGFPなどの標識物質をコードしている遺伝子を含むプラスミド注入によるニューロン標識法の実用化を行うための研究を当該年度は主に行った。特定の条件下においてelectroporationを実施することで、およそ40%の確率で単一ニューロンに遺伝子を導入し、細胞を標識することに成功した。この結果は、本研究課題で目指すところの、慢性記録実験における本手法の適用が十分に可能であることを示している。さらに、本研究課題の最終目標である、課題を遂行中のラットにおける本手法の適用を確立するために、本研究課題で用いているものと同様の、頭部を固定した行動中のラットからの記録、および標識を行う実験を行った。その結果、30%以上の確率で記録を行った細胞の標識を行うことに成功した。上記の成果は、in vivoにおけるblind single-neuron electroporation法の確立に成功したといえるものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の主な目標である、行動中の動物における、電気穿孔法を用いた単一神経細胞染色法の確立は、当該年度中に実験を終え、論文の執筆、投稿まで済ませることができた。また、これと並行し、動物の訓練、およびそれらの動物からの記録実験も順調に進んでおり、その一部は学会発表も行われた。さらに、より広範な領域からの記録を行う準備も進めている。これらの成果は、当初の目的を上回るものであり、以降のさらなる成果が期待できるものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は当該年度に確立した手法を用いて、行動中の動物からの記録・染色実験を行っていく予定である。まずは、比較的単純な課題を動物に訓練し、その動物から記録・染色を行うことで、予備的なデータを得る予定である。それと並行し、より複雑な課題を動物に訓練し、後の実験に備える予定である。また、本研究課題における、線条体の細胞を対象にした実験のみならず、線条体を含む大脳基底核とつながりの深い、前頭連合野の細胞からの記録・染色も行う予定であり、それにより前頭葉を中心とした行動の発現や抑制のメカニズムを包括的に理解することを目指す。
|
Research Products
(2 results)