2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08061
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮崎 匠 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ジュネーヴ / 絵画論 / リオタール / トロンシャン |
Outline of Annual Research Achievements |
ジュネーヴ大学図書館などの研究施設を利用し、18世紀ジュネーヴの絵画論、およびそれとの影響関係が考えられる美術関連書を閲覧・調査した。その結果、同都市の美術理論に関しては、スイスの他の都市の絵画論以上に、フランスやイタリアの理論との関係が密接であることが判明したため、それら他地域の絵画論とジュネーヴの絵画論の特徴的理論の内容を比較分析した。これによりヨーロッパ美術理論史上におけるジュネーヴ絵画論の相対的な位置づけを明らかにした本研究の成果は、口頭での研究発表と外国語・日本語による論文の中で発信された。 まずジュネーヴの画家J. E. リオタールが重点的に論じている、作品の「仕上げ」に関する理論を分析した結果、それがオランダの画家J. ファン・フイスムの作品に対する評価や、17世紀イタリアの画家F. アルバーニの自然描写に関する理論と密接に関係していることが明らかになった。またジュネーヴの美術愛好家F. トロンシャンの絵画論については、特に気候風土が作品様式に及ぼす影響に関する理論などは、当時のフランスで知られていた絵画論を発展的に受容しつつ形成された可能性が高いことを明らかにすることができた。 他にヴェネツィアの美術愛好家F. アルガロッティの書簡を分析した結果、アルガロッティがリオタールやトロンシャンと同様にアルプス以北の画家の「仕上げ」を高く評価する傾向を持っていたこと、すなわちイタリアとジュネーヴの絵画論には近似する趣味の傾向が認められることが判明した。さらに同時代のフランスで出版された美術辞典などの資料との比較からは、リオタールが絵画論の中で高く評価するパステルに特有の鮮やかな発色などの特徴は、同時代のフランスの美術関係者たちにも利点として認識されていたこと、つまり流行の画材に関する隣国の趣味にも、ジュネーヴの絵画論は敏感に反応していたことを究明することができた。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(5 results)