2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 晃士 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コヒーシン / 複製 / Mec1 / ChIP-seq |
Research Abstract |
本研究では、「Mec1はなぜ複製フォークがコヒーシン結合部位を効率的に通過するために必要なのか?また、Mecl以外に必要とされる因子はあるのか?」という疑問を中心に据え、複製フォークがコヒーシン結合部位を通過する際に引き起こされる一連のイベント、そして、コヒージョン確立のメカニズムを明らかにすることを目的として研究を開始した。 まず、mec1欠損株における複製フォークの蓄積をより詳細に解析するために、出芽酵母をG1期からHUを含む培地へリリース後30,60,90,120分の複製フォークの動態をChIP-seq法により調べた。野生型株ではリリース後30-60分で複製が開始され、その後60_120分において、進行する複製フォークはコヒーシン結合部位にほとんど蓄積しなかった。一方、mec1欠損株ではリリース後60-120分において、複製フォークは複製開始点近傍のコヒーシン結合部位で強く蓄積していた。これにより、mec1欠損株におけるフォークの蓄積はリリース後60-120分において顕著であることがわかった。 次に、mec1欠失株における複製フォークのコヒーシン結合部位での蓄積が、確かにコヒーシン依存的に起こっているかを検証するため、auxin-inducible degron system(AID)によりコヒーシン複合体を分解した時の複製 フォークの進行を解析した。コヒーシン複合体を分解した時の複製フォークをChIP-seq法により解析したところ、予想に反して、複製フォークはコヒーシン存在時と同様に蓄積していた。さらに、複製フォークの進行をChIP-qPCRにより解析したが、やはり複製フォークはコヒーシン存在時と同様に蓄積した。これらの結果により、複製フォークはmec1欠損株において、コヒーシン結合部位に蓄積するが、その蓄積はコヒーシンに依存しないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究室で既に得られていた実験結果が、申請者自身によって再現されたことから、申請者はChlP-seq法を含めた実験手法を着実に習得してきたと考えられるため。また、申請者はバイオインフォマティクスにも取組んでおり、ChlP-seqによって得られたデータを自ら解析できるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
コヒーシンの結合部位の多くは遺伝子間のうちconvergent siteにあることが報告されている。そのため、複製フォークがコヒーシン結合部位を通過するとき、その多くがconvergent siteを通過すると考えられ、そこでの転写装置との衝突を回避しなければならない。この衝突の回避にMeclが必要であるかを検討するため、今後は転写を一時的に阻害した場合、および転写装置を核膜孔複合体につなぎとめる因子(Sac3,Mlpl)の欠損株において、複製フォークの蓄積が解消されるかを解析する予定である。
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Research Products
(2 results)