2012 Fiscal Year Annual Research Report
新しい流体・固体連成破壊解析手法の提案と,都市域の詳細な津波解析
Project/Area Number |
12J08183
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 航平 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 津波解析 / 地震応答解析 / 高性能計算 |
Research Abstract |
本研究では,地震・津波防災の高度化のため,流体力による構造物の破壊を考慮した詳細な津波解析を都市規模の広域を対象に行うことを目的としている.平成24年度においては,並列計算に適した流体・固体連成解析手法の開発を行い,平成25年度以降に京コンピュータを使ってこれを都市規模に展開する研究計画であった. 流体力による構造物の破壊を含めた津波解析を行うには,固体の計算と流体の計算の情報を互いに受け渡すプログラム構造が必要となる.そこで,平成24年度の前半においては固体・流体解析間での情報の受け渡しの一例として,固体解析の情報である地震動による構造物の被害の情報を,流体解析である津波解析に受け渡す方法を開発した.ここでは,構造物の地震応答解析により得られる構造物一棟一棟の変形を,3次元流体解析を使った津波解析に受け渡すことで地震による構造物応答・街区の津波湖上を統合的に計算する.このような解析を広域で行うため,地震・津波の二つのプログラムの入力都市モデルを地理情報システム(GIS)上のデジタル都市データから自動的に変換する手法を開発し,仙台市に本手法を適用した. 構造物との連成を考慮した津波解析を都市規模で行うためには構造物群の構造特性を津波解析に入力する必要がある.津波を引き起こす地震による構造物の損傷は構造特性に影響を与えると考えられるため,高精度な津波解析結果を得るためには高性能な流体・固体連成解析手法に加えて地震による構造物の損傷の推定手法が重要となる.そこで,平成24年度の後半においては,当初平成25年度に計画していた京コンピュータを使った大規模計算手法の開発に取り組んだ.ここでは,都市を構成する一軒一軒の構造物と,その直下の地盤構造からなる都市モデルに対して並列計算手法を使って地盤と構造物の応答を解析することで表層地盤・構造物の特性を踏まえた高分解能な都市地震被害想定を求める手法を開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
13.研究発表に記載の成果に加え,都市の構造物群の地震応答解析手法に関する論文が土木学会論文集Al(構造・地震工学)に受理されている.以上のような当初の計画以上の成果が出ている一方で,当初平成24年度において計画していた,流体・固体連成破壊解析に必要となる固体の破壊解析手法の高度化に向けた研究には取り組んでいるものの,成果が出るまでには進んでおらず,さらなる研究が必要となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度においては,平成24年度に引き続き,流体・固体連成破壊解析に必要となる固体の破壊解析手法の高度化に向けた研究に取り組む計画である.また,これと並行して,詳細な津波解析において入力となる構造物群の構造特性を高精度で求めるため,都市の地震被害想定の高度化に取り組む計画である.ここでは,3次元地盤応答解析手法と構造物応答解析手法を組み合わせ,多数の構造物からなる都市の地震被害想定を高精度で求める手法の開発に取り組む計画である.
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