2012 Fiscal Year Annual Research Report
レーザ波面計測センサによる放電プラズマ内電子密度の全空間分布測定
Project/Area Number |
12J08296
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲田 優貴 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レーザ波面計測センサ / 電子密度 / アーク放電 |
Research Abstract |
1レーザ波面計測センサの高感度化 再現性に乏しいアーク放電の消滅機構を解明すべく、単一測定による電子密度の2次元分布が求められている。本研究ではこれまで、シャックハルトマン型レーザ波面測定装置の開発を行い、電流値が数10A以下となる消弧領域において、大気中アーク放電内の2次元電子密度分布を一度の測定で取得してきた。 しかしここで述べた従来型シャックハルトマン装置は10'23m^-3程度の比較的高い電子密度に適用が限定されており、電子密度が10'23ゴー3程度未満にまで低下した場合には、2次元電子密度分布を取得することはできなかった。 そのため本年度は、シャックハルトマン装置を構成するマイクロレンズアレイ(以下、MLA)の長焦点化を行うことで、装置の最小検出感度を10^<23>m^<-3>から10^<21>m^<-3>にまで改善し、低電子密度の2次元分布を一度で測定した。 2電流ゼロ点近傍における大気中およびSF6ガス中アーク放電内の2次元電子密度分布測定 電力用遮断器内で発生したアーク放電を速やかに消滅させるために、現在はSF6ガスが多用されている。そこで本年度は、大気に対するSF6ガスの優れた消弧能力を定量的に検証すべく、1で述べた高感度型シャックハルトマン装置を使用し、電流ゼロ点近傍における大気中およびSF6ガス中アーク放電内の2次元分布電子密度分布を測定した。 両気体中アーク放電ともギャップの中心付近から電子密度が低下してゆき、消滅に至る様子が観測された。また大気中アークの場合、電流ゼロ点前後5μsの電子密度は常に10^<22>m^<-3>でほとんど経時変化を示さなかったが、SF6ガス中アークの電子密度は上記の時間領域で10^<23>m^<-3>から10^<21>m^<-3>程度以下へと急速な減衰過程を示していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重反射光学系(現有機器)を他の研究に使用していたため。
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Strategy for Future Research Activity |
大気、SF6ガス中アーク放電に加え、真空アーク放電についても電子密度の全空間分布測定を行う。これにより、局所的に電子密度が低下している箇所や、電子密度が減衰する際の時間スケールなどを定量的に明らかにする。また、流体方程式などの偏微分方程式系に対して工学ソフトCOMSOL Multiphysicsを大気・SF6ガス中アーク放電に適用する。全空間にわたる電子密度分布の測定結果と比較検討を行うことで、より妥当性の高いシミュレーションモデルの構築を行う。
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Research Products
(9 results)