2012 Fiscal Year Annual Research Report
高感度X線観測によるブラックホールと銀河の共進化の解明
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12J08368
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩野 浩一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | X線天文学 / 高エネルギー宇宙物理 / 半導体検出器 |
Research Abstract |
本年度はASTRO-H衛星搭載の硬X線撮像検出器(HXDの試験に主に携わり、2015年の打ち上げに向けて着実にHXIの開発を進めることができた。 衛星搭載品と同じ構成で初めて製作された5段積層のHXI主検出器の性能評価試験をおこなった。試験においては、高圧電源や電源供給から読み出しシステムに至るまで、衛星搭載品と同等のシステムを用いた。これらの結果は秋季天文学会にて報告した。 さらに、打ち上げ時や軌道上での環境を模擬した試験も行った。軌道上の環境を模擬した熱真空環境試験では、正常に動作することを確認し、軌道上で予想される検出器の温度分布の情報も得ることができた。また、打ち上げ時の振動を模擬した振動試験においては、テルル化カドミウム(CdTe)半導体検出器の電極と読み出し基盤との間の接合に問題が判明したが、その後の複数回のCdTe検出器単層での振動試験により解決に向かっている。 以上の試験だけでなく、軌道上で優れた性能を実現するために不可欠な応答関数の構築を行った。平成23年度に行ったSpring-8の放射光ビームを用いた較正実験のデータ解析により、応答関数モデルのパラメータを決定することに成功した。この結果は国際会議にて報告した。さらに、2013年夏に最新の応答関数を公開するために、現在改良を行っている。 また、以上の検出器開発以外にも、銀河団とブラックホールとの相互作用があると考えられる電波銀河をターゲットとして、Chandra衛星による観測データの解析にも取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
打ち上げの予定が2015年に延期となったが、順調にASTRO-H衛星の硬X線撮像検出器(HXI)の開発が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではASTRO-H衛星の硬X線撮像検出器の開発を中心におこなってきたが、今後は、現在運用中の衛星を使った観測データの解析もより積極的に進めていく。
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Research Products
(3 results)