2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J08459
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
深谷 知宏 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Keywords | 抑制性 T 細胞 / リプログラミング / エピジェネテイクス / インターフェロンγ / Th17 / ヒストン修飾 / DNA メチル化阻害 |
Research Abstract |
Slnad2/3両欠損マウスでもnTregの発生は正常に起こることから、胸腺においてはTGFβに依存しない何らかのFoxp3発現維持機構が存在することが示唆される。活性化型T細胞を抑制型に転換するというT細胞のリプログラミングの目標のために、Smad非依存的にFoxp3を誘導しうる遺伝子を単離することをめざした。Tregで発現の高い転写因子を中心に約150遺伝子を完全長cDNAライブラリーよりピックアップし、293細胞を用いた Foxp3プロモーター/ルシフェラーゼによる機能的なスクリーニングを行った。この方法から核内オーファン受容体であるNr4a2がFoxp3プロモーターを直接活性化することを見いだした。Nr4a2のみをT細胞で欠損させたマウスを作製し解析を行ったが、そのマウスではTregは正常に分化し、自己免疫疾患も見られなかった。ファミリー分子であるNr4a1とNr4a3による機能重複の可能性が考えられた。そこで、Nr4a1, Nr4a2, Nr4a3全てをT細胞特異的に欠損させたマウス個体(Nr4a-TKOマウス)を作成し解析を行った。その結果、このマウスでは胸腺・末梢共にTregがほぼ全く存在しないことが明らかとなった。次にシングルノックアウトマウス、ダブルノックアウトマウスを解析することで各因子の関与の度合いを解析した。その結果、各因子のシングルノックアウトでは顕著なフェノタイプは確認されなかった。さらにNr4a1-Nr4a2、Nr4a2-Nr4a3の組み合わせのダブルノックアウトでもTregは発生し自己免疫疾患も見られなかったが、Nr4al-Nr4a3のダブルノックアウトでは自己免疫疾患がみられ、Treg分化の減少も確認された。これらの結果はNr4a1とNr4a3の寄与が大きいことが示唆している。今後NR4aの活性を制御することで新たな免疫疾患の制御方法の確立をめざす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Foxp3 プロモーターのスクリーニングにより Nr4a2 を単離できた。これは生体内での Treg の産生に必須なばかりでなく、人工的に Treg を作製できる道を開いたことからリプログラミング因子として今後の展開が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
Nr4aファミリー分子は同様の機能を持ち、互いに補い合いつつTreg分化に機能していることが明らかとなったが今後の重要な問題は①どのような機構やヒエラルキーでファミリー間で機能を重複しているのか、②Nr4aはどのようなDNAエピジェネティク変化をT細胞に与えてTregへ転換するのか、③Nr4aによってエフェクターT細胞からTregへ転換できるのか、④Nr4aの胸腺内でのリガンドは存在するのか ? またリガンドやアゴニストを使うことでTregへの転換が可能か、などを明らかにすることである。これらを達成できれば今までにない免疫疾患治療法の開発につなげられると考える。
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Research Products
(3 results)