2013 Fiscal Year Annual Research Report
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12J08491
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡村 和樹 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ランダムウォーク / ランダムネス / グラフ |
Research Abstract |
1. 昨年度は、1次元整数上のある種の自己相互作用をもつランダムウォークの族について、それらが区間から脱出するまでのランダムウォークレンジのあるスケール極限について、それがルベーグ測度とどれくらい「近い」もしくは「遠い」かについて、いくつかの結果を得た。今年度は、それらの成果を論文としてまとめ、投稿し、受理された。なお、シェルピンスキー・ガスケット上にも同様の自己相互作用をもつランダムウォークの族が定義され、同じ問題を考察したが、そちらは未解決である。 2. 1.の結果のうち、アトムが現れない極限分布の場合は、ある種の関数方程式の解の性質を調べることに帰着される。それについては先に述べた論文と分離して咋年度に論文にまとめ、投稿したが、それが受理された。また、そこで現れた解は、0と1からなる無限列の空間上の確率測度とみなせるが、その測度から、0と1からなる無限列が、「ランダム」であるかどうかを決定する定義がある。関数方程式の定義にあらわれる定数に計算可能性を仮定したとき、ランダムな無限列の「複雑さ」を記述するある種の「次元」についての結果を、議論中にあらわれるいくつかの零集合の「記述」を調べることにより、得た。これを新たに論文にまとめ、投稿した。 3. 長距離相関をもちうるパーコレーション上の無限グラフについて、グラフ距離についてのある種の仮定のもとで、グラフ上のグラフ距離についての大きな半径の球の「形」に相当するものを、その球の半径が十分大きい場合に求めた。昨年度に得た、そのグラフ上のランダムウォークの大偏差原理の結果とあわせて論文にまとめ、投稿した。 4. 昨年度から引き続き研究した、不規則なグラフ上のランダムウォークレンジに関する結果を論文にまとめ、投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
極限測度についての論文の掲載が決まり、そこから派生してランダム性に関する結果が得られたが、それ以外のモデルでは、満足のいく結果は得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
自己相互作用をもつランダムウォークのモデルの中には、近年提唱された新しいモデルもある。それらの研究の動向に注目しつつ研究を行っていきたい。
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