2014 Fiscal Year Annual Research Report
カイラル対称性の部分的回復の定量評価を目的としたパイオンの深い束縛状態の精密測定
Project/Area Number |
12J08538
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西 隆博 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ハドロン物理 / クォーク凝縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は理化学研究所において超電導リングサイクロトロンより供給される重陽子ビームを用いて深く束縛されたπ中間子原子を生成し、その束縛状態のエネルギー及び寿命を精密に測定することを目的とする。2014年度には、以下の二点を行った。 (i) 2010年に行われたパイロット実験の解析 (ii) 122, 117 Snを標的とした本実験の実施 (i) については、これまで考慮してこなかった高次のイオン輸送系の補正を解析に取り入れた。その結果、較正用データにおいて実際のデータとシミュレーションが驚くほどの一致を見せるに至った。解析は現在最終段階であり、近く論文としてまとめて発表する予定である。 (ii) については、2014年6月に122, 117 Snを標的とした実験を行った。この実験では、パイロット実験と同様の122Snを標的として用い、精密測定に足るだけの十分なデータ量を取得した。さらに、世界で初めて核子数が奇数の核種(117 Sn)を標的として用いた。この実験では著者が中心的な役割を果たし、全体の実験手順の決定や現場の指揮を取った。また、新たなイオン輸送系の調整法を考案し、実際に実験に用いることでパイロット実験と比べより信頼の足るデータを得ることが出来た。さらに通常は専門スタッフに任せる加速器の調整においても、我々の検出器からのデータをフィードバックすることで供給されるビームの質を飛躍的に向上させることに成功した。結果として、加速器を冷却するために用いられる冷却水の温度とビームの位置の相関までを観察することに成功している。これらの結果、π中間子原子の精密分光としてはこれまでで最もよい分解能を達成したことがオンライン解析によって既に判明している。これらの結果はさらに解析を進め、論文として発表する予定である。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)