2012 Fiscal Year Annual Research Report
南部アフリカ農村部の生計維持と発展における「都市」の役割に関する比較・統合研究
Project/Area Number |
12J08558
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
伊藤 千尋 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 南部アフリカ / 農村-都市関係 / 中小都市 / 都市化 / 生計システム / 流動性 / ザンビア / ジンバブウェ |
Research Abstract |
本研究は、ザンビアとジンバブウェにおいて、農村部の生計維持において都市部との関係が果たす役割について明らかにし、農村と都市との間にみられる流動性を考慮した地域発展の在り方について検討することを目的としている。そのなかで、特に大都市ではなく中小都市の発達プロセスが近郊農村の生計システムに与える変化について注目している。 上記の目的の達成のために、初年度にあたる平成24年度は、文献レビューをすすめるとともに、新たに調査を始めるジンバブウェ共和国での現地調査を行うための体制を整えた。また、これまでも調査経験があるザンビアでの中小都市に関する調査を行った。ザンビアでの調査では、対象とする南部州の町(シアボンガ)において住民にインタビューを行い、どこから、いつ、どのような人が流入してきているのかを調査した。また、これまでヨーロッパ系移住民によって支えられてきた町の基盤産業である漁業と観光業に、近年新たに参入するザンビア人たちにもインタビューを行い、町の労働市場の多様化について調査を行った。 この結果、中小都市では特に近郊農村部の人びとが短期・長期的に町へ出入りしており、流動性が高いことと、近年始まった中国の建設プロジェクトに惹きつけられて大都市からも人口の流入が起こっていることがわかった。そしてザンビア人起業家らが、雇用契約を結ばないインフォーマルな形態で雇用を提供していることから、人口の流動性が保たれ、極端な都市化へと発展しない可能性が示唆された。今後は中小都市に特有の都市化の在り方をさらに探求していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ザンビアでの現地調査が短期間ながら充実したデータが得られたことと、ジンバブウェでの調査許可の取得を年度内に達成できたことにより、今年度はザンビアの調査結果の論文化、ジンバブウェでの本調査という段階に進むことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査や論文の執筆は従来どおり遂行する予定である。また、本研究では、都市の多様な在り方を探求するために、中小都市に焦点をおいている。南部アフリカの都市研究では、中小都市への研究関心が薄かったが、近年に入って南アフリカや北欧の研究機関によって行われるようになってきた。そのため、これらの機関を訪問し、セミナーやワークショップなど何らかの形で意見交換できる機会を儲けたいと考えている。
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Research Products
(2 results)