2013 Fiscal Year Annual Research Report
既存の精密データによる制限とLHCでの検証によるテラスケール物理模型の決定
Project/Area Number |
12J08705
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鍋島 偉宏 富山大学, 理工学教育部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 加速器現象論 / ヒッグス粒子 / 暗黒物質 / ニュートリノ / インフレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、標準模型では説明できない諸問題を解決可能な新物理模型に対する既存実験からの制限を評価し、その加速器実験での検証可能性を解析することで、テラスケールの新物理学模型を特定することである。 本年度は4月1日から1月9日まで暗黒物質研究の専門家であるAlejando Ibarra教授がいるミュンヘン工科目指し、セミナーを行うなど議論を重ねた。 帰国後、去年度提案した理論(Phys. Lett, B723 (2013) 126)の改良に取り掛かった。この理論は輻射シーソー模型の枠組みで、インフレーション、暗黒物質、ニュートリノ質量を同時に説明するものであり追加されたスカラー場を調査することにより現在計画されている重心系のエネルギーが500GeVのILCで検証できる可能性がある。しかしながら、この理論は10 <15>GeVスケールでユニタリティが破れ、そのままではインフレーションが起こる10 <17>GeVスケールに到達する前に破綻してしまう。去年度の段階ではこの問題はより高エネルギーで導入される機構により解決されるとし、厳密に取り扱ってこなかったが、本年度はこの問題を解決する方法について研究を進めた。この問題は主なインフラトンが弱い相互作用を起こすことが原因となっており、そのため新たに理論の対称性に対して変換性を持たないスカラー場を追加し、インフレーションを引き起こす理論を考えた。この場合、ユニタリティの問題を解決可能であり、100GeVスケールでは去年度提案した理論となる。補助的塗インフラトンとなっている標準理論のヒッグス場とイナート二重項場の中性成分も、インフレーションのためのポテンシャルを作るために重要な働きをしており、これにより100GeVスケールでのスカラーボソンの質量に制限を与える。この研究については現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は4月1日から1月9日まで暗黒物質研究の専門家であるAlejandro Ibarra教授がいるミュンヘン工科大学に滞在し、研究や議論等大きな経験となった。また、去年度に提案した理論の発展も進んでおり、おおむね順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは去年度提案した理論(Phys. Lett B723 (2013) 126)の問題点を新たなスカラー場を導入する方法で解決する。また、本年度末に報告されたBICEP2実験の結果から、重力波のテンソルスカラー比がこれまで考えられた値よりも大きい可能性が出てきており、これを説明するために模型の運動項を変更するなどの対策を行い、新たな理論を作成しようと考えている。 また、新たに得られる宇宙観測実験等の結果を解析し、これらの制限を満たす新物理理論を作成し、その理論が加速器実験で特定できるかを探求する。
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Research Products
(1 results)