2012 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン二重膜ベシクルの超階層的組織化による光電変換システムの構築
Project/Area Number |
12J08773
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ゴルゴル リカルドミゾグチ 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | フラーレン / 重合体 / 金ナノ粒子 / ナノカプセル / 触媒反応 / 複合材料 |
Research Abstract |
フラーレン二重膜ベシクルと機能性ナノ構造から形成される階層的複合材料の研究を行った.二つの異なるアプローチで複合材料の合成に成功した. (1)触媒担持フラーレンベシクルの表面上にin situ重合反応を開発し,ポリマーカプセルの合成に成功した.ポリマーカプセルは,内部空間に機能性分子を内包する能力があるため,ナノリアクターおよびドラッグデリバリーシステムへの応用が考えられてきたが,従来のテンプレート合成法では応用に必要とされるサイズや形状の制御が非常に困難であった.フラーレン二重膜ベシクルは,柔軟性のない骨格を有するソフトテンプレートとして,均一なポリマーナノカプセルの合成を可能にした.重合体は、NMRおよび顕微鏡により確認され,エステル交換反応による修飾も実証された.(2)フラーレンベシクルと金ナノ粒子の非共有結合的自己集合によるフラーレンと無機粒子の階層的複合材料の調製に成功した.ナノカーボンと無機粒子は強い相乗効果があるため,それら複合体は触媒反応および光電変換において有望な新材料として広く研究されている.動的光散乱と電子顕微鏡により高被服率のフラーレンベシクル・金ナノ粒子の複合体の形成が確認された.さらに,フラーレンと金ナノ粒子の相乗効果は金ナノ粒子の触媒活性の向上により確認された. フラーレンベシクルの表面機能化に広く使える精密制御オレフィン重合,および金ナノ粒子での協奏的修飾はいずれも超分子光電変換システムの構築に直結し,本研究の目的を達成するために,重要な技術である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではポルフィリン誘導体分子によるフラーレンベシクルの非供給結合的な表面修飾を想定していたが,より難しいとされる精密制御オレフィン重合,および金ナノ粒子による表面修飾の方法を開発した.いずれも超分子光電変換システムの構築に重要な技術である.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度にフラーレン二重膜ベシクルの表面修飾の技術を開発したため、今後はフラーレンベシクルと重合体・無機粒子の複合材料を有機薄膜太陽電池の材料として検討を行う.当初の計画でも予定されていた薄膜の作成が特に難しい予想され,作成条件だけで膜の厚さと密度の制御が不完全になる可能性は充分ある.その場合には,フラーレンベシクルと電極の間にコーティング剤または膜に添加剤を導入し,膜の作成を制御する予定です.
|