2013 Fiscal Year Annual Research Report
多色1分子イメージングによるT細胞活性化シグナル分子の時空間的な相互作用の解明
Project/Area Number |
12J08832
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 由馬 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 1分子イメージング |
Research Abstract |
本研究の目的は、T細胞シグナル伝達経路の細胞刺激強度の変化による応答を明らかにし、T細胞シグナル伝達活性化の動態と分子機構を分子システムとして定量的に解明することである。本年度は、研究計画に従い、多色同時1分子観察画像の解析を行った。特に、活性化したT細胞表面に形成されるT細胞受容体のマイクロクラスターと、その構成分子1分子の同時定量を行った。一般的な平均二乗変位を用いた拡散係数の算出では、クラスター内外の1分子の挙動が平均化されるために、その比較が困難であった。クラスター領域内外における1ステップ変位の分布を用いたところ、微小領域内における1分子レベルの拡散係数の比較に成功した。 また並行して、多色1分子観察系の改良を行った。複数種の赤色蛍光タンパク質について1分子レベルで定常発現するHeLa細胞を構築し、細胞内での1分子蛍光強度や退色特性の定量を行い、生細胞内1分子観察に適したRFPを決定できた。また、今まで細胞刺激に用いていた平面脂質二重膜を、invitroでも使えるように脂質組成を検討し、His-tagタンパク質を結合でき、流動性を調節できる系に改良した。これらにより、より詳細な1分子定量が可能になった。 さらに、少数の1分子を標識する方法では、微小領域の観察に限界があったため、PALM法による超解像観察に着手した。テストサンプルとしてDronpa-MAP4を発現するHeLa細胞を作製し、照明や解析方法を最適化することで、細胞内微小管の超解像画像の取得に成功した。この系を用いることで、T細胞受容体のクラスターを数ナノメートルの精度で観察できるとの確証を得た。 今回確立した多色1分子の観察解析法は、T細胞表面に限らず、様々な生細胞の1分子観察に応用できるため、非常に重要である。これまでに得た結果をまとめて、平面脂質二重膜を用いた観察及び多色1分子の解析法について論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、T細胞受容体のマイクロクラスターと、その構成分子1分子の画像解析を行い、微小領域内における拡散係数の定量を行った。多色1分子画像の解析には、従来の1分子追跡法が適さず、その定量方法の決定に時間を要したが、1ステップの分布を用いる新たな方法により問題点を克服した。さらに、脂質二重膜を用いた観察方法の改良による1分子蛍光特性の測定及び、超解像観察法への応用を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は引き続き、T細胞表面分子の多色同時1分子観察とその解析を進める予定である。特に、前年度において観察された、休止状態におけるT細胞受容体のクラスターに関係した、シグナルタンパク質や細胞膜構造に対する阻害実験を行い、本年度において確立した複数色の1分子観察と超解像法を用いることによって、その分子メカニズムを解明する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Action mechanism of neuronal membrane lipid raft.2013
Author(s)
Matsushima Y., Toda O., Ito Y., Sakata-Sogawa K., Paxton T., Boku A., Ohno S., Yonezawa T., Yokogawa T., Nishikawa K., Chung U., Tokunaga M., Hayashi N.
Organizer
第36回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
神戸コンベンションセンター(神戸)
Year and Date
20131203-06
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