2013 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビームを用いた3次元ナノ空間制御:機能性デバイスの創製と分析法の開発
Project/Area Number |
12J09069
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
大山 智子 (五輪 智子) 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門量子ビーム応用研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Keywords | 量子ビーム / 微細加工 / 天然由来高分子 / レジスト |
Research Abstract |
平成25年度は「量子ビームを用いた生体適合性高分子の微細加工および改質技術の開発」を中心に研究を行った。研究に用いたポリ乳酸は、生分解性・生体適合性を併せ持つ代表的な医用プラスチックである。微細加工技術が確立されれば、医薬研究におけるバイオチップや医療用マイクロマシン等の産業応用が期待される。本研究では、集束イオンビーム(FIB)照射による物理スパッタと材料の放射線分解反応を利用したポリ乳酸の直接的な削り出し加工を検討した。直径50nm以下に絞った30keVのガリウムFIBを照射し、照射条件(線量・線量率・ビームサイズ・試料の厚さなど)が加工精度に及ぼす影響を調査した。ポリ乳酸はガラス転移温度(約60℃)以上で容易に熱変形を起こすため、加熱されやすい照射条件(高線量・高線量率・大面積照射)や熱が拡散しにくい試料条件(厚い試料)では、表面が荒れたりエッジが丸くなったりと加工精度が劣化した。加工速度と加工精度の詳細な調査から、線量率や試料の作製方法の最適化を行った。その結果、熱変形やデブリの発生が抑制され、直径80nmの穴や幅60nmの溝など精密な微細構造を作ることに成功した。 さらに、FIBがポリ乳酸表面に引き起こす化学変化を利用した機能化についても検討した。照射後の化学結合状態をX線光電子分光法(XPS)で分析した結果、物理スパッタと放射線分解反応による分解物の脱離によって炭素の二重結合(C=C)が増加したことが分かった。高分子材料表面のC=Cの割合によって細胞接着性の強弱が変わることが報告されており、本研究で得られた微細加工体は、局所的に細胞接着性を制御できる医療・バイオデバイスとしての応用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(4 results)