2012 Fiscal Year Annual Research Report
マグネターの年齢および生成率の見直しとその観測的な検証
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12J09081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 俊男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マグネター / 中性子星 / 超新星残骸 / 高エネルギー天文学 |
Research Abstract |
2011年に「すざく」衛星で行ったマグネターに付随する超新星残骸CTB109の広範囲観測のデータ解析を行った。 CTB109の広範囲から作った典型的X線スペクトルはおよそ0.25keVと0.6keVの2温度プラズマで説明することができた。これは以前に行った解析を追認する形となり、やはりCTB109はおおよそ一万年ほどの超新星残骸であることがより強固となった。また注目していた、半月境界でのスペクトルから、電子温度や電離状態に際立った変化は見つからなかった。そこで境界周辺での表面輝度を慎重に調べると、表面輝度の半分に変化する領域があることがわかった。これは超新星残骸に分子雲が食い込むように存在するために、超新星残骸のシェルの手前と奥の両方が見える領域と、分子雲の陰となり手前のみが見える領域の違いということがわかった。これに関して、2012年秋天文学会にて発表を行った。 大型放射光施設SPring-8にてASTRO-H搭載の硬X線撮像検出器の両面ストリップSi半導体検出器と硬X線望遠鏡を組み合わせた試験を行った。Spring-8の大強度を生かし、平行なX線を硬X線望遠鏡により集光、それをSi半導体検で受けることで有効面積を測定した。実際にASTRO-H搭載の集光系と検出系を組み合わせた初の試験となった。また同試験で両面ストリップSi半導体検出器の広い範囲にx線を照射し、検出器応答構築のためのデータを取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定されていたASTRO-H衛星の打ち上げが2015年に変更された。このため地上検証モデルを用いた十分な検証はできていない。マグネターの磁場進化に重要な、超新星残骸CTB109の広範囲観測データを用いた年齢の再確認、半月境界の詳細解析などおおむね計画通りに進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
ASTRO-H衛星の打ち上げの延期にともない、現存観測データのみで本研究を完結させる必要が出てきた。対策としてXMM-Newton衛星やChandra衛星などの海外の衛星、もしくはASCA衛星などの過去の衛星の観測データも組み合わせていく。またこれらのデータを効率良く扱うためのデータベースの構築を行う。
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