2013 Fiscal Year Annual Research Report
マグネターの年齢および生成率の見直しとその観測的な検証
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12J09081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 俊男 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マグネター / 中性子星 / 超新星残骸 / 特性年齢 / 磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常の電波パルサーの2桁以上も超強力な磁場(>4.4e+15ガウス)を持つ中性子星、マグネターがどのように生まれたかを、それらに付随する超新星残骸の観測から調べることが本研究の目的である。前年に引き続き、私は「すざく」衛星を用いて過去に行なった、マグネター1E 2259+586に付随する超新星残骸CTB109のX線観測データの解析を行った。その結果、CTB109はおよそ450km/sで膨張していると推定された。半径(15パーセク)と膨張速度からCTB109の年齢を計算すると1.3万年となることが分かった。いっぽうで1E 2259+586の特性年齢は自転によるパルス周期とその減速率から24万年と計算され、超新星残骸の推定年齢よりも20倍ちかく大きい。マグネターと超新星残骸の年齢齟齬が露になった。これは両者が同一の超新星爆発を起源にもつかどうか、疑念をもたらす重大な問題であった。私はこの問題が、マグネターの強力な磁場が徐々に減衰していくために特性年齢が過大に評価されたと考えた。磁場の減衰過程をモデル化し、特性年齢を補正し計算しなおすと年齢齟齬が解消されることが分かった。この結果を中心に、2014年3月にイタリアで行なわれた国際会議にて、口頭発表を行なった。 また、パルス周期が6時間とひじょうに長いX線パルサー1E 161348-5055を中心にもつ超新星残骸RCW103の「すざく」による観測データの解析を行なった。この結果、RCW103のスペクトルはCTB109のものと多くの類似点をもつことが分かってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年に引き続き、「すざく」によるマグネター1E 2259+586に付随すり超新星残骸CTB109の観測データ解析を行なった。マグネターと超新星残骸の年齢齟齬は従来から知られていたため、この解決に重点的に取り組み、それがマグネター磁場の減衰によることが分かった。これが論文として投稿することができたため、順調に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
年齢齟齬が解消されたので、マグネター1E 2259+586と超新星残骸CTB109は同一の超新星爆発で生まれたと考えてほぼ間違いない。そこでより詳細にCTB109を調べることで、マグネター1E 2259+586がどのような親星から作られたのか、また爆発の規模などを明らかにしていく。
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