2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J09119
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
今田 沙織 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC1)
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Keywords | 格子熱伝導率 / 核マントル境界熱流量 / 格子熱拡散率 / 内核年齢 |
Research Abstract |
核マントル境界の熱流量は地球の熱史、マントルや核の対流、ダイナモの駆動等の議論に関わる重要なパラメータである。核マントル境界直上は熱境界層であり、熱は主に熱伝導によって輸送される。そのため、核マントル境界の熱流量は最下部マントル構成鉱物の熱伝導率と温度勾配の積で表すことが出来る。しかし先行研究による熱伝導率の見積もりは5-30W/m/Kと、大きな幅がある。高圧下における熱伝導率測定が困難であることから、未だ最下部マントルの熱伝導率は決定されておらず、核マントル境界の熱流量に強い制約は与えられていない。本研究は高圧発生装置ダイヤモンドアンビルセル(DAC)と、サーモリフレクタンス(TR)法による熱拡散時間測定を組み合わせることで、下部マントル鉱物の室温での格子熱拡散率測定を行い、核マントル境界の高圧下における格子熱伝導率を求めることを目的としている。測定結果を用い、核マントル境界の熱流量を見積もり、内核年齢等に代表される地球の熱史について議論を行うことが最終目標である。DACとTR法を組み合わせた本研究手法は、核マントル境界における高圧力条件下において格子熱拡散率測定を行う唯一の方法である。昨年度は下部マントル鉱物であるMgOペリクレイスの室温・高圧下における熱拡散率測定を行い、格子熱伝導率を求めた。測定して得られたMgOペリクレイスの格子熱伝導率を用い、先行研究で報告されている格子熱伝導率の温度依存性を併せることで最下部マントルの熱伝導率、核マントル境界の熱流量について議論を行い、アメリカ合衆国で開催された国際学会にて口頭発表を行った。 また、高温における熱拡散率測定を可能とするため、外部抵抗加熱式DACをTR法装置に組み込む試みを着手し始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では1年次に工学系の調整と試料合成を行い、2年次に測定を開始する予定であったが、1年次である24年度にMgOペリクレイスの熱拡散測定を行い、アメリカ合衆国で行われた国際学会にて、成果を発表することが出来た。またDC1申請時に投稿準備中であった、NAL相とCF型相の状態方程式についての論文を国際誌に投稿することが出来たため、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策については、昨年度に測定を行った室温・高圧下におけるMgOペリクレイスの格子熱拡散率測定をより高圧下まで拡張し、取得データをまとめ、本年度中に国際誌に投稿予定である。 また、当初の計画通り現在進展中の高温下における熱拡散率システムを確立する。高温下における測定を順次行っていく予定である。求めた結果から格子熱伝導率の温度依存性を決定し、冬季に行われる国際学会で発表を行うことを考えている。
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Research Products
(2 results)