2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J09119
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
今田 沙織 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC1)
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Keywords | 格子熱拡散率 / 格子熱伝導率 / ダイヤモンドアンビルセル / 核マントル境界熱流量 |
Research Abstract |
マントル境界の熱流量は核の冷却速度に相当し、地球の熱史、マントルや核の対流、ダイナモの駆動等の議論に関わる重要なパラメータである。核マントル境界直上は熱境界層であり、熱は主に熱伝導によって輸送される。そのため、核マントル境界の熱流量は最下部マントル構成鉱物の熱伝導率と温度勾配の積で表すことが出来るが、先行研究による熱伝導率の見積もりは5-30Wm/Kと、大きな幅がある。高圧下における熱伝導率測定が困難であることから、比較的低圧下における測定に限られており、未だ最下部マントルの熱伝導率は決定されておらず、核マントル境界の熱流量に強い制約は与えられていない。そこで本研究では平成24年度より、格子熱伝導率に注目し、高圧発生装置ダイヤモンドアンビルセルと、サーモリフレクタンス法による熱拡散時間測定を組み合わせることで、マントル鉱物の格子熱拡散率測定を行っている。昨年度は、100-137万気圧までの高い圧力範囲において、室温におけるMgOペリクレイスの熱拡散率測定を行い、下部マントル条件下におけるMgOの格子熱伝導率を求めることに成功した。核マントル境界における圧力条件下において、実験的にMgOの格子熱伝導率を決定した研究は本研究が初めてである。室温高圧下におけるMgOの格子熱拡散率測定の結果をまとめ、地球惑星科学連合主催の連合大会、高圧力学会主催の高圧討論会で口頭発表したと共に、論文を国際誌Geophysical research lettersに投稿し、現在査読審査中である。また、外部抵抗加熱式ダイヤモンドアンビルセルを用いた高温下におけるMgOペリクレイスの熱拡散率測定にも着手した。32GPaにおいて300-500℃までの高温条件下で格子熱拡散率測定を行い、高圧討論会にて室温下のデータと併せ、口頭発表を行った。 また、今年度新たに測定を始める鉄とアルミニウムを含んだMgSiO_3ペロフスカイトを、マルチアンビルプレスを用い、24万気圧以上の高圧下において合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
室温におけるMgOペリクレイスの格子熱拡散率測定を137万気圧までの高圧発生下において測定を成功させることが出来、2つの国内学会で成果を口頭発表し、国際誌に投稿することが出来たため、おおむね順調に進展していると判断した。核マントル境界圧力条件(135万気圧)における測定例はこれまでにない。また、平成24年度末に着手し始めた外部抵抗加熱による高温発生下におけるMgOの格子熱拡散率測定も行い、国内学会で成果を発表することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度末に合成した鉄とアルミニウムを含むMgSiO_3ペロフスカイトの高圧下における熱拡散率測定を行う予定である。本測定において、鉄、アルミニウムによる不純物の格子熱伝導率における効果を推定し、昨年度までに得られているMgOペリクレイスの格子熱拡散率と併せ、実際の下部マントルにおける格子熱伝導率を決定する。以上より、核マントル境界における熱流量を求め、地球の熱史について議論を行い、国際誌に論文を投稿したいと考えている。
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Research Products
(1 results)