2012 Fiscal Year Annual Research Report
プログラムされた核酸複合体を基体とする触媒デザインとそのシグナル増幅への応用
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12J09190
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
二村 朱香 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNAコンジュゲート / 有機触媒 / シグナル増幅 / Michael付加反応 |
Research Abstract |
本研究では、DNA複合体を反応場とする触媒反応系の確立を目的としている。DNAを足場とする反応として、Michael付加反応を選んだ。この反応を加速する有機触媒には、酸、塩基、および疎水部分を併せ持つという共通項がある。つまり酸、塩基が特定の疎水環境に適切に配置されていれば、Michael付加が加速されると考えられる。DNA構造の特性を利用すれば、このような理想的な酵素様環境を設計することが可能であり、本研究ではこれを核酸、タンパク質などの検出系におけるシグナル増幅反応として利用する。DNA複合体を反応の足場としてとらえると、その構成要素の化学修飾により、あらゆる機能部位を導入でき、また複数の機能部位同士の距離、配向を自在に制御することが容易である。つまり、DNAに酸、および塩基部位を導入し、ターゲットの存在下でのみ両者が近づくよう設計すれば、DNAを基体として触媒環境を構築することができる。 本年度には、酸、および塩基を導入したDNAコンジュゲートの合成を行い、機能ユニットのライブラリーを構築し、ライブラリー内の酸と塩基の全組み合わせについて触媒能を検討した。手法としてはDNAをボスホロアミダイト法により合成し、51末端への導入は固相単体上で行った。その後、固相単体から切り出し、コンジュゲートを得ることができた。また3味端にはアミノ基を導入し、活性エステル化した反応物との縮合反応によりコンジュゲートを合成した。触媒機能の検討では、合成したコンジュゲートについて様々な組み合わせを検討した。これまでの結果において付加反応は観測されたが、狙ったシグナル増幅は見られていないため、基質や反応条件を更に検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に用いるDNAコンジュゲートの合成が完了し機能ユニットのライブラリーを構築することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、このユニットの組み合わせや反応条件を検討することで当初の目的であるシグナル増幅系を確立することが可能と考えている。 反応における基質への反応物としてアセトンを検討していたが、バックグラウンドの増加や揮発等の問題から再現性が得られにくいことが示された。今後は、基質および反応物も条件に合う化合物の合成を行い、分子設計を検討する。また、Michael付加反応の他、Aldol反応、Baylis-Hillman反応など多様な化学反応への展開や、反応生成物のエナンチオ選択性についても並行して検討する。
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Research Products
(4 results)