2013 Fiscal Year Annual Research Report
固体中電子の幾何学とスピン・電荷輸送現象の理論的研究
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12J09231
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中河西 翔 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トポロジカル超伝導 / マヨラナ状態 / キタエフ模型 |
Research Abstract |
磁性体と従来型超伝導の接合系において有効的に新奇な超伝導状態が実現する事を明らかにした. いくつかの先行研究に基づいた研究であるが、本研究の新規性は、(1)磁性モーメントによって生じる超伝導体の束縛状態を用いて有効模型を導出し、(2)それに基づき磁気秩序と実現する超伝導状態の関係を明らかにすることで、(3)2次元のトポロジカル超伝導体の実現について議論した点である. 我々が注目したのは従来型超伝導中に孤立した磁性モーメントが存在している時にその周囲に形成される束縛状態(Shiba状態)である, 格子状に並んだShiba状態は従来型超伝導のギャップ中にバンド構造を作り出し、そこにp波の超伝導が生じることになる. 隣り合ったShiba状態の重なりに依ってバンドの各パラメータが変化するが、重なりは磁気モーメントの相対的な向きに依存する. すなわち磁気秩序と超伝導秩序が共存する系において、適当な磁気秩序を仮定する事で任意の超伝導状態を作り出せることを明らかにした点に本研究の重要性がある. より具体的には、(1)1次元のスピンヘリックス状態ではKitaevモデルが、(2)2次元のシングルスピンヘリックス状態ではノードのあるp波超伝導状態が、(3)スカーミオン結晶ではカイラルp波超伝導状態が、出来る事を示した. この理論的提案はトポロジカル超伝導を実現するという近年の課題に対して一つの解答を与えるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トポロジカル超伝導の実現に関して、最近急速に発展し今後ひとつの潮流になる可能性を秘めた磁性モーメント用いたモデルの研究を早い段階で着手できた事は評価に値するだろう.
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Strategy for Future Research Activity |
スピンカイラリティとホール効果の関係のように、磁性秩序と誘起される超伝導秩序の関係をさらに明らかにする事で、より多くの非自明な超伝導状態に対して予言を与える事が出来ると期待される。また外部磁場・電場の印加などにより磁気構造を変化させる事によってマヨラナ状態の操作を行う事を目指す。
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Research Products
(9 results)