2012 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤輸送システム応用に向けた層状複水酸化物の形態制御と細胞輸送機構の解明
Project/Area Number |
12J09298
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 みゆき 東北大学, 環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 層状複水酸化物 / 蛍光色素 / 細胞 / 共焦点顕微鏡 / 有機無機複合体 / 細胞内動態 |
Research Abstract |
本研究の目的は,1)層状複水酸化物(以下,LDHと記述する)の形状による,エンドサイトーシス経路および各細胞内小器官へのゲスト分子輸送量へ及ぼす影響,2)発光性LDHを用いた細胞輸送の可視化による,プロトンスポンジ効果の実証および細胞核への輸送物質の解明である. 本年度で得られた成果は以下の通りである. 1)LDHの形態制御:ロッド状LDHについて 2)LDHの機能性(蛍光特性)付与:希土類ドープ単分散LDHについて 3)LDH細胞内輸送挙動の観察:ライブセルイメージングによる細胞内動態の観察について はじめに,形態制御によりロッド状LDHの合成を試みた.結果として,細胞核へ優先的に輸送されると報告されている粒子は,LDHではなく水酸化アルミニウム(Gibbsite)であるという結論が得られた.したがって,ロッド状LDHの優位性について,粒子形状だけでなく組成についても比較検討する必要性があると結論づけられた. 次に,細胞内挙動を可視化するため,蛍光特性を付与したLDHの合成を試みた.得られたLDHは蛍光特性を発現したものの,その強度は微弱であり観察には使用できなかった.しかしながら,希土類等の他元素ドープ単分散LDHの合成法について重要な知見が得られた.合成したLDHは,細胞内元素分布の可視化プローブとして有用である可能性も示された. 最後に,ライブセルイメージングにより,LDH粒子の細胞内動態を捉えることに成功した.これにより,細胞内でのLDHの挙動を経時的に追うことができるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LDHの形態制御および機能性の付与について,最適合成条件を決定するまでには至っていないものの,その過程で得られた知見が,他の検討事項(細胞輸送に与える影響因子や可視化手法)に対して新たな可能性を提示した.合成または観察で得られた知見を,もう一方の検討事項にフィードバックしていくことで,本研究の目的を高い次元で達成できると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
ロッド状LDHについては,LDHではなくGibbsiteについて比較検討する必要があるため,1)LDHの形状によるエンドサイトーシス経路および各細胞内小器官へのゲスト分子輸送量へ及ぼす影響の検討は,本研究での優先順位を下げる。 次年度では,2)発光性LDHを用いた細胞輸送の可視化による,プロトンスポンジ効果の実証および細胞核への輸送物質の解明を目的に,pH測定プローブLDHの合成およびそれを使った細胞内pHの可視化に注力する.また,本年度で得られた他元素ドープ単分散LDHを用い,新たに細胞内元素分布の可視化についても取り組む予定である.
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Research Products
(11 results)