2012 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧下における金属鉄-ケイ酸塩の液相間元素分配の実験的決定
Project/Area Number |
12J09469
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 龍一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高圧高温実験 / ダイアモンドアンビルセル / 元素分配実験 / 初期地球 / コア-マントル分化 / マグマオーシャン / 放射性熱源 / 地球中心核 |
Research Abstract |
地球は形成時、集積エネルギーによる温度の上昇によりほぼ全溶融していたと考えられている。この時、地球マントル中の親鉄性元素存在度等から地球のマントルとコアは高圧高温環境下にて化学平衡に達していたと考えられており、地球のマントルを構成するケイ酸塩と地球の核を構成する金属鉄合金について、その液体-液体間化学反応を高圧環境下で実験的に調べることは、地球形成・進化の過程を知る上で重要なテーマである。しかし、地球内部を模す超高温高圧環境下での実験の技術的な困難さもあり、コアとマントルの液相間化学反応はこれまで主に低圧低温の実験データを外挿することによって議論が行われてきた。本研究では、コア-マントル間の化学反応にとって重要なパラメータである温度、圧力について、初期地球においてコア-マントルの化学反応が起こりうる全温度圧力範囲にて外挿無しで液相間化学反応の実験を行い、実際の地球の構造・進化の理解をめざす. 研究期間を通じて、超高温高圧条件下における液体金属鉄-ケイ酸塩メルト間の元素分配について、1.ダイアモンドアンビルセルを用いた超高温度の測定技術2.FE-EPMAによる微小サンプルの化学分析3.LA-ICP-MSによる微量元素の定量分析技術の実験系の確立を行った。 さらに、これらの技術を用い、138GPa,5500Kという、コア-マントルの化学反応が起こりうるほぼ全ての温度圧力条件での実験を成功させた。その結果、地球中心核には1.酸素,ケイ素が約10%入っていること、2.放射性熱源であるカリウムは最大で10ppmしかコアに入らないこと、3.今まで液体金属鉄には入らないと思われていたマグネシウムも高温では数wt%金属鉄に分配され得ること、などを明らかにした。 本研究成果は多数の国内学会及び国際学会にて発表を行った。また、成果は論文として国際誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、超高温高圧条件下における液体金属鉄・ケイ酸塩メルト間の元素分配について、実験系の確立を目的としていたが、これらについては既に終え、FE-EPMAによる化学分析の成果を多数の国内、国際学会にて発表を行ったほか、国際誌に投稿、現在査読中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に高圧高温実験により作成し、主要元素をFE-EPMAにて化学分析した実験試料に対し、fs-LA-ICP-MS(フェムト秒レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置)にて微量元素の分析を行う。また、そのための追加試料の作成を適宜行う。
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