2012 Fiscal Year Annual Research Report
高圧合成を用いた新規鉄系超伝導体の探索とその物性評価
Project/Area Number |
12J09508
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村場 善行 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 鉄系超伝導体 / 高圧合成 / 水素化物 |
Research Abstract |
年次計画において3つの研究方法(1}新規化合物CaFeAsHへのドーピングによる超伝導物質の探索。 (2)CaFeAsHの基礎物性測定(3)La-dopedしたSrFe_2As_2の単結晶育成と基礎物性測定。を通じて、(1)液体窒素の沸点77K以上のT_cの物質を得る。(2)超伝導の基礎物性の解明。の二点を目標として掲げた。 ・研究方法について (1)新規化合物CaFeAsHへのドーピングによる超伝導物質の探索。 Ca^<2+>サイトをLa^<3+>で部分置換、Fe^<2+>サイトをCo^<3+>で置換するとこによって、それぞれ47K,23Kで超伝導になることが分かった。(2)CaFeAsHの基礎物性測定。電気伝導率の測定や低温X線回折、比熱測定の結果CaFeAsHは約97Kで構造相転移(正方晶→斜方晶)、磁気相転移(常磁性→反強磁性)が同時に起こっている事が分かった。また低温X線から得られた構造パラメーターを用いて第一原理計算を行なった結果、CaFeAsHは他の鉄系超伝導帯物質とは特異なバンド構造を有している事が分かった。(3)La-dopedしたSrFe_2As_2の単結晶育成と基礎物性測定。他のグループにより詳細な研究報告がなされたため研究継続を断念した。 ・目標について (1)液体窒素の沸点77K以上のT_cの物質を得る。 2つの新規超伝導物質を得ることに成功した目的としていた超伝導転移温度が77Kを超える物質は得られなかった。 (2)超伝導の基礎物性の解明 Co置換したCaFeAsHの超伝導相図やバンド計算によって得られた電子構造を解析する事によって、鉄系超伝導体においてブロック層は伝導層のFeAsの局所構造を変えるに過ぎず、そのTcはヒ素の高さに依存している事が分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者が発見した新規鉄系化合物CaFeAsHに対して、間接及び直接電子ドーピングであるCaサイトLa部分置換とFeサイトCoドープに成功した。それぞれ、23K、46Kで超伝導転移が見られた。しかし、サンプルに含まれる異相の同定とそれらの除去やドーパントの不均一性の解消などに時間がかかり、論文にするまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.CaFeAsHのCo-doped,La-dopedに関する論文を作成する。 2.CaFeAsHのLa-dopedのオーバードープ領域の合成を試みる。 3.CaサイトにLa。Hサイトに0を置換してFeAs層周りの局所構造を変化させ、Tcのオプティマイズを試みる。 4.絶縁層のCaH層は変えず伝導層を変えた物質の合成を試みる。 5.2,3で得られた結果を学会発表・論文等としてまとめる。
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