2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J09622
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
白石 貴久 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水熱合成法 / 低温製膜 / 非鉛圧電体 |
Research Abstract |
(1)金属箔上への(KNa)NbO3膜の作製 振動特性取得に向けて、水熱合成法を用いてカンチレバー形状の金属箔基板上への(KNa)NbO3膜作製を試みた。これより、再現性良く金属箔上へ(KNa)NbO3膜を作製することに成功した。また、片面にのみ (KNa)NbO3膜が作製されたユニモルフカンチレバーだけでなく、両面に製膜されたバイモルフカンチレバーの作製にも成功した。これは金属箔の両側面へ同時製膜したものであり、原料溶液中に基板を浸して製膜を行う水熱合成法の特徴を最大限に活かした方法である。また、エッチングや引き剥がしといったプロセスを必要としないため、従来のバイモルフカンチレバー作製法と比較して圧倒的に簡易的である。これにより、ユニモルフカンチレバーより2倍以上の振動特性向上が期待され、発電量の増加に繋がる。 (2)樹脂上への(KNa)NbO3膜の作製 従来、水熱合成(KNa)NbO3膜は200℃以上で作製されており、耐熱性の低い樹脂上へ製膜する際、製膜温度の低温化が必要不可欠であった。そこで、初めに水熱合成法によりSrTiO3単結晶基板上へ100℃以下での(KNa)NbO3膜作製を試みた。これより初めて100℃以下での低温製膜に成功し、基板として使用可能な樹脂種の拡張に成功した。 (3)材料開発 水熱合成法(KNa)NbO3粉末の作製報告は多く行われているが、膜の作製報告は殆ど行われていない。また、化学反応を利用して製膜するため、他元素ドープ実現には製膜メカニズムを詳しく知る必要がある。そこで、水熱合成(KNa)NbO3膜の製膜メカニズムを明らかにすることを試みた。これより、膜組成は溶媒(KOH及びNaOH)の混合比よりも、溶質(Nb205)に対する溶媒の溶解度の影響を強く受けていることが明らかになった。よって、他元素ドープには慎重な原料選択が必要であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の流れは(1)基板種の拡張,(2)膜構造の最適化(コンポジット化)の順で行い、並行して(3)材料開発を行う。(1)において、金属箔上では測定段階に入り、樹脂上への製膜も視野に入りつつある。また、(3)は他元素ドープに向けて、水熱合成法による多成分系の製膜メカニズムと組成制御のキーポイントが明確になりつつある。以上のことから、上記の区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は金属箔上での水熱合成(K,Na)NbO3膜の振動特性を明らかにし、その後、有機・無機コンポジット膜作製に着手することで、更なるフレキシビリティ向上を目指す。また、並行して行う材料開発においては、引き続き製膜メカニズムの解明を行い、水熱合成法による他元素ドープの可能性を調査する。樹脂上へは100℃以下での製膜を試みる。しかし、強アルカリ溶媒による樹脂の劣化(加水分解)及び膨潤,製膜温度による熱膨張といった問題点が挙げられる。これらは耐薬品性の高い樹脂の選択や、金属や酸化物膜でのコーティング処理を施すことで解決可能であると考えている。
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Research Products
(6 results)