2013 Fiscal Year Annual Research Report
三次元電子構造を目指した環状TTFオリゴマーの合成と性質
Project/Area Number |
12J09705
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中村 健一 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | マクロサイクル / 三次元的電子構造 / ドナー化合物 / オリゴマー / 構造異性体 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
本研究は三次元的電子構造を有する分子性導体の開発を目指している。本目的のためにテトラチアフルバレン(TTF)にチオフェンを挿入した骨格をマクロサイクル型に拡張した屈曲型のπ電子ドナーを設計した。初年度はその三量体、四量体の合成に成功した。 TTP三量体マクロサイクルはシャープなビニローグピークが確認できた。積分比からそれぞれのピークがIHに相当する事が示唆された。TTP三量体非環状と比較するとビニローグピークは明らかに低地場シフトし環境の異なる六つのプロトンが存在することが分かった。残念ながら異性体を明らかにする決定的な証拠は得る事ができなかったが非等価な6つのピークは一つの異性体と示唆できる。これは、明らかに安定な配座があり、それ意外の配座はほとんどない事が示唆された。 分子軌道計算の結果から環状化合物のビニローグピークは低磁場にシフトするのは、プロトンとアルコキシの酸素と相互作用を形成することが示唆された。チオフェンまわりがS-synもしくはantiの異性体である事が考えられ、高磁場へのシフトはチオフェンがantiもしくはO-synの異性体をとっていることが示唆された。これらを考慮すると対称性は持たずチオフェンがS-syn, O-syn, anti異性体をそれぞれとり、三ヶ所のTTPが全てE体の異性体をとれば3Hが低磁場、3Hが高磁場になることが予想される。そのような異性体を有する構造をDFT計算で最適化構造を計算した結果をFig. 2に示した。平面性の非常に低い構造を有してねじれながら歪みを解消していた。ここから計算したNMRの結果もよく支持していた。現在は四量体の構造もNMRと分子軌道計算から構造を明らかにしているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(1 results)