2013 Fiscal Year Annual Research Report
爆発性テトラゾール‐フタロシアニンの合成と細胞破壊型癌治療薬への展開
Project/Area Number |
12J09706
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
西峯 貴之 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | フッ素 / テトラゾール / フタロシアニン / 抗癌剤 |
Research Abstract |
細胞破壊型という新しい作用機序を示す癌治療薬の開発をめざし, 光吸収部位である含フッ素フタロシアニン, 爆発性超エネルギー物質であるテトラゾール, 細胞を認識させる光学活性化合物の3パートを組み合わせた化合物を設計した。3年計画の初年度である平成24年度では, 合成上最も柔軟な光学活性化合物部位の合成反応に注力し, その基幹反応としてC-F結合の活性化を伴うアリル位選択的不斉トリフルオロメチル化反応を見出している。そこで平成25年度では, まず, この基幹反応の精査を行い, 一般性と反応機構の解明に着手した。その結果, 求核的トリフルオロメチル化試薬Me_3SiCF_3のケイ素が強固なC-F結合活性化の鍵となっていることが判明した。すなわち, フッ素と親和性の高いケイ素がフッ素原子に配位し, それが引き金となってC-F結合の切断が開始することが明らかとなった。その際, 共存させている不斉触媒(シンコアアルカロイド)が, フッ素原子の絶対配置を識別し, 一方の光学異性体のC-F結合のみが切断されやすくなることがわかった。続いてこの反応を用いて, テトラゾール部位との連結反応を検討した。脱離基としてより強力な塩基が生じるtert-ブトキシカルボニル基(B㏄基)を採用し, 爆発性超エネルギー物質であるテトラゾールとのアリル位求核置換反応を試みたが, 目的物は得られなかった。今後さらなる条件精査が必要である。一方, 光吸収部位であるフタロシアニンとサブフタロシアニンをそれぞれ連結させたアミノテトラゾールを合成し, 光照射下での細胞毒性試験を行った。その結果, いずれも光照射下でのみ強い細胞毒性を示し, 光非照射下では細胞毒性がないことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞を認識させる光学活性化合物の合成法において, C-F結合活性化という合成化学的に重要な反応を取り入れ, 独自に工夫を凝らし成功した。また, 含フッ素フタロシアニン部位は光照射下でのみ強い細胞毒性を示すという知見も得た。このことから本研究課題解決に向け, おおむね順調に進展している判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度は最終年度となる。これまでの成果を踏まえ, 標的化合物の合成を達成したい。しかし, テトラゾール部位を求核種としたアリル位置換反応には成功していないので, 特にこの反応開発が鍵となってくる。脱離基の選択が重要で, その点を留意した上で反応の精査を実施する。しかしながら, 反応がそれでも計画的に進行しない場合には, 標的構造に広く柔軟性を持たせ, 最終物の類縁構造へ導くように努力する。これらを用いて, 細胞毒性を調べる。
|
Research Products
(6 results)