2013 Fiscal Year Annual Research Report
現代医療における患者の良心の意義と役割-死亡判定、ワクチン、輸血の事例を中心に
Project/Area Number |
12J09815
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加藤 穣 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Keywords | 医療 / 良心 / 宗教的信念 / 輸血 / 脳死判定 / ワクチン接種 / 自己決定 |
Research Abstract |
本研究課題「現代医療における患者の良心の意義と役割―死亡判定、ワクチン、輸血の事例を中心に」は、患者の側の良心や誠実性が医療の中で、とりわけ良心に基づいて拒否しうると一部の地域で見なされている脳死判定、ワクチン接種、輸血等について、どのような意義や役割を侍ちうるのかという問題等を検討することにより、医療における良心、宗教的確信、誠実性の役割・意義を解明することを目指すものである。本研究の第2年目は、(ii)冠者についてその良心が間われる事例として、脳死判定拒否以外ではワクチン接種拒否の事例および「エホバの証人」の信者らによる輸血拒否の事例があるため、ワクチン接種拒否、エホバの証人による輸血拒否の事例との比較を行う、としていた。まず、昨年の報告書でも指摘した通り、研究の進展に伴い、研究内容で言及した「医療における良心、宗教的信念、誠実性」と、(必ずしも宗教的信念に基づかない)自己決定一般の間の混線という問題点が顕著に浮かび上がったが、これが日本だけにとどまらず、アメリカ発祥の生命倫理学が内包してきた問題である点を指摘する"Objections to Blood Transfusion by Jehovah's Witnesses in Japan and a Reconsideration of Self-determination in Healthcare"(Journal of Philosophy and Ethics in Health Care and Medicine)を公表した。ワクチン接種拒否の問題、および脳死判定拒否、輸血拒否との比較については、学会発表(「いかなる理由によってワクチン接種拒否は許容されるか?」日本医学哲学・倫理学会第32学術大会2013年10月19日)を行ったので、今後論文の形で公表していく予定である。有馬斉他による同学会のワークショップにおいて提題者の一人として発表を行ったが、当該ワークショップの報告「医療現場における異文化コミュニケーションの問題」の中で、「宗教的信念に影響される医療上の選好」と題する文章を寄稿した。これは現在投稿中であるが、これまで日本では十分顧慮されてこなかった問題を概説的な形で提示することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、患者の側の良心や誠実性が医療の中で、とりわけ良心に基づいて拒否しうると一部の地域で見なされている脳死判定、ワクチン接種、輸血等について、どのような意義や役割を持ちうるのかという問題を検討することにより、医療における良心、宗教的確信、誠実性の役割・意義を解明することを目指すものであり、大きく研究を4つの段階に分けていたが、すでに、(i)と(ii)が一通り遂行され、より総合的な検討が可能になる段階に入った。
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Strategy for Future Research Activity |
公立大学常勤職に2014EP4月1目付で看仕するため、本研究プロジェクトは2013年度末をもって廃止するが、本研究課題のうち残された部分を、他の科学研究費等(今後応募予定)を用いて継続していきたいと考えている。今後予定している部分には、倫理委員会の承認を必要とする部分があるので、大学の倫理委員会とこの点について調整していきたいと考えている.
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Research Products
(5 results)